大化
ポーランド侵攻から80年、復活するドイツへの戦後賠償要求の動き
2019年9月2日 16:18
【9月2日 AFP】第2次世界大戦(World War II)の口火を切ったナチス・ドイツ(Nazi)によるポーランド侵攻から1日で80年を迎えた。だが、ナチスによる爆撃の音は、80年が経過した今も両国の戦後賠償論争の中にこだましている──。
隣り合わせの両国はここしばらく、北大西洋条約機構(NATO)、そして欧州連合(EU)の同盟国として、第2次大戦のページをめくったようにも見えていた。
しかし、2015年のポーランド総選挙でその様相ががらりと変わった。与党となったEU懐疑派の右派政党「法と正義(PiS)」は、EUやドイツとの関係を政治的駆け引きの道具として利用し、また戦後賠償に関する論争も再開させたのだ。
ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ(Mateusz Morawiecki)首相は先月、「ポーランドはいまだ適切な補償をドイツから受けていない…第2次大戦でわが国は600万人の国民を失った。大きな補償を受け取った国々よりもその数はずっと多い」と発言していた。
2017年、PiS党首のヤロスワフ・カチンスキ(Jaroslaw Kaczynski)氏はこの問題を再提起した。それ以来、議会の委員会が戦時中のポーランドの人的・物的損失の規模について見直す分析を行ってきた。
その規模については、大戦直後の1947年に行われたポーランドの算出額を上回り、現在の換算で約8500億ドル(約90兆円)に相当すると、PiSのアルカディウシュ・ムラルチク(Arkadiusz Mularczyk)議員は語る。
AFPの取材に応じた同議員は「第2次大戦が終わって随分たつが、ドイツは自らの過去を反省していない。ドイツは法の支配による民主的な基準を守り、人権を尊重することよりも、自国の予算の安定を気にかけているのだ」と述べた。
■補償問題は解決済みなのか
ドイツ政府はナチスによる戦時中の残虐行為の責任は認めているが、補償についてはポーランドであれギリシャであれ、要求を拒み続けてきた。「ドイツ政府の立場は変わらない。ドイツの補償問題は、法的にも政治的にも解決済みだ」と政府報道官は言う。
ポーランドは旧ソ連の衛星国だった1953年、同じ共産国だった旧東ドイツに対し、第2次世界大戦中の補償請求権を放棄している──これがドイツ政府の主張だ。
1990年、ドイツの再統一に向けて、東西ドイツ2か国と第2次大戦の対独戦勝4か国からなるツープラスフォー(2+4)会議(Two Plus Four Conference)が開かれた後、ドイツとポーランドは国境条約に調印。続けて翌91年には、善隣友好条約を結んだ。その間、補償問題が提起されることはなく、問題は解決済みとの暗黙の了解があると、ドイツ政府はみなしている。
しかし、ポーランドの保守派は、1953年の旧東ドイツとの合意はソ連の圧力下でなされたものだと主張し、その有効性に異議を唱えている。またドイツには、ポーランドへの補償に関する「道徳的義務」があるとも主張している。
ポーランド政府は今のところ正式な補償請求は行っていない。だが、PiSのムラルチク議員はこの問題への取り組みは必須だと強調し、「(補償)問題が解決されないままでは、第2次世界大戦中にドイツ人が果たした役割を相対化するところまで行ってしまう」と言う。
1939年、ポーランドの西側からドイツが侵攻した2週間後、今度は東側から旧ソ連が侵攻を開始した。だが、ポーランド外務省はAFPの取材に対し、「ポーランドとしては、ロシアに対する戦後補償の問題を現時点で持ち出していない」と詳細には触れずに答えた。(c)AFP/Stanislaw WASZAK / with Mathieu FOULKES in Berlin
https://www.afpbb.com/articles/-/3242483
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