他人の「うんち」を移植された患者が死亡する事例が発生

匿名

貞観

19/06/17 14:51:54

健康な人の便を患者に投与する便微生物移植(FMT)という治療法は、患者の腸内細菌のバランスを整えることで難病の治療効果が期待できるというもの。
そんなFMT治療を受けた患者が、健康に寄与する細菌だけでなく「致命的な細菌」まで移植されてしまったことで死亡するという事例が発生しました。
FMTはクロストリディウム・ディフィシル感染症という、重度の下痢を引き起こして患者の命を脅かす感染症に有効であることが知られています。健康な人の中には多くの難病を治療する効果を持つ、「癒やしのうんこ」を持つ人がいるそうです。

ところがアメリカ食品医薬品局(FDA)は2019年6月13日、「FMTを受けた患者が危険な細菌まで移植されてしまい、細菌が引き起こした感染症によって患者が死亡する事例が発生した」と発表。FMTには危険が伴うと警鐘を鳴らしています。

今回の事例では、免疫系が弱った患者2人に対してFMTが実施されたところ、患者はESBL産生菌という 「スーパーバグ」の一種が引き起こす感染症にかかってしまったとのこと。スーパーバグとはDNAが変異を起こして抗生物質に耐性を持つようになった細菌のことで、ESBL産生菌は抗生物質を分解する酵素を産生するタイプのスーパーバグです。
そしてスーパーバグが引き起こした感染症が重症化し、2人のうち1人が死亡するという事態に発展。 FMTに使用された便を分析したところ、便のドナーがESBL産生菌を保持していたことが判明しました。

今回の事例では、ドナーの便は事前にESBL産生菌についてのスクリーニングが行われておらず、致命的な細菌が免疫系の弱った患者に移植されてしまったとFDAは述べています。
FDAの生物製剤評価研究センターのディレクターであるピーター・マークス博士は「私たちはFMT分野についての科学的発見を支持していますが、FMTにもリスクが伴う点に注意することが重要です」とコメント。
FDAは早急にこの事例について共有しFMT治療において便が移植される前にスーパーバグなどの項目についてドナーの便をスクリーニングすることを、医療機関や関係者に要求しました。

gigazine.net

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