• No.380 佃煮

    19/01/10 14:36:20

    11
    今日は会社の新年会。愛の勤める会社は大手企業で、毎年結婚式をするような大きなホテルの会場を貸し切りにして行われている。
    会場は数百人はいるだろう、皆なお酒を飲みながら賑やかに談笑している。
    椎名は周りを見渡し、愛を探す。程なくいつもよりお洒落した可愛らしい愛の姿を見つけた。
    体にフィットした黒のワンピースが良く似合っている。
    最近は愛が何か悩んだように遠くを見つめている事が多い。肌を重ねても、心ここに在らずと言った様子だ。
    楽しそうに談笑している様子に安堵し、椎名は愛の元へ人混みをかき分けながら早足で向かった。
    愛に声をかけようとした瞬間、愛と談笑していた相手が目に入った。
    斉藤則雄・・・愛が1年目に指導を受けた先輩である。最初から斉藤は愛に惚れていた。愛は気付いてなかった様子だが、周りから見たら一目瞭然だった。部署移動して1年近くなるのに愛を見つめる視線にはまだ熱がこもっている。愛に言い寄る男は沢山いたが、斉藤が会社ではそれとなくカバーし、取引先も女性が多い所を担当させていた。それでいて自分はしっかり愛の「信用できる先輩」の地位を確立した腹の底のしれない奴だ。部署移動がなければ愛を手に入れていたかもしれない。
    椎名は心中穏やかではなかったが、何事もないフリをして話しかけた。

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