• No.1 食欲の秋

    17/09/25 07:14:34

    続き

    ■太地から活動家消える

     SSが今回なぜ、妨害中止を打ち出したのか。その背景について、最新の動きを踏まえてさらに分析してみたい。

     実はこの宣言に先立ち、変化の兆しはあった。

     SSが日本での主な活動の場としている和歌山県太地(たいじ)町。2010年、伝統的なイルカ追い込み漁を批判的に扱った映画「ザ・コーヴ」が公開された後、活動は激化し、9月1日からの漁解禁にあわせて例年、SSなどの活動家が大挙して押し寄せるのが“恒例”だった。活動家は「クジラやイルカのためだ」と語り、漁師らに挑発的な言動を浴びせたり、執拗(しつよう)にビデオやカメラ撮影を行ってインターネット上で公開したりしてきた。

     だが、今年は活動家の姿はほとんど見かけないという。9月3日の今季の鯨類初捕獲の際も妨害は一切なかった。関係者は「例年に比べると、あまりにも静かだ」と語る。

     この背景に、日本側の締め付けの強化があるとみられているのだ。

     法務省入国管理局や警察当局は2020年東京五輪・パラリンピックを控え、活動家の入国を警戒。すでに昨年5月にノルウェー出身の女性活動家を、今年5月にもSSのフランス人主要活動家を、それぞれ水際で身柄を拘束して強制送還している。

     SSのサイト上には、太地への活動がしづらいことをうかがわせる内容も記されており、日本側の対策は一定程度、効いてきているのだろうか。

    続く

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  • No.2 食欲の秋

    17/09/25 07:15:48

    >>1の続き

    ■国際世論の流れ変化も

     反捕鯨のアピール力が低下しているといった国際世論の流れの変化があるという見方もある。その一端が調査捕鯨に批判的な目を向け、SSの拠点もある反捕鯨国オーストラリアの対応だ。

     オーストラリアの環境相は9月、国内の海岸でサメとの遭遇事故が増えていることと、クジラの生息数との因果関係を調べるように研究機関に指示した。クジラが絶滅の危機にひんしている-とする根拠のない理由を反捕鯨の旗印に掲げるSSに対し、サメとの遭遇増加について、沿岸でクジラが増え、そのクジラを捕食するサメが増えたのが要因とみて調査に乗り出すという。

     仮にクジラの増加が要因だと証明されれば、オーストラリアの反捕鯨の流れが揺らぐ可能性があり、SSの影響力低下は避けられないとみられる。

     さらに、南極海などで調査捕鯨を行う日本鯨類研究所(東京)がSSなどを相手取り米連邦地裁に起こしていた訴訟で、昨年8月、SSとの間で、日本側の捕鯨船に対する妨害行為を永久に行わないことなどを柱とする合意に達したことも大きいとされる。

     国際的な反捕鯨の流れに変化が生じてきていると言え、今回の中止宣言に少なからず影響を与えているのではないか、とみる関係者は少なくない。

    ■太地町長「伝統守る」

     日本では、日本動物園水族館協会(JAZA)加盟の施設が太地の追い込み漁からイルカを入手しない決定を強いられるなど、SSのなりふり構わぬ国際世論操作に長年、押され続けてきた。

     だが、最近は伝統的な漁を尊重しようとしてJAZAを脱退する施設が出てきたほか、太地町が情報交換などを進めるため、同じ追い込み漁を行うデンマーク自治領フェロー諸島のクラクスビークと姉妹都市協定の締結に踏み切るなど、反捕鯨の流れにくさびを打とうとする動きが出始めていた。

     こうした状況下でSSの妨害中止宣言が飛び出したのだ。

     とはいえ、SSが資金不足をアピールして、さらなる世界からの援助を得ようとしているだけで、妨害中止は一時的なものでしかないとする見方もささやかれる。

     ワトソン容疑者は「クジラのために命をささげる」とたびたび公言しており、水産庁の担当者は「今までと違う方法での妨害を模索しているのかもしれず、警戒感は変わらない」との姿勢を崩していない。太地町の三軒一高町長は「(SSの宣言を)意識することなく、太地は変わらず漁を続け、伝統を守っていく」と話している。

    産経ニュース
    http://www.sankei.com/west/news/170925/wst1709250002-n1.html

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