• No.2 読書感想文

    17/09/04 16:13:18

    しかし、日本シナリオ作家協会の会員で、映画・テレビドラマの脚本を多数手がける脚本家の西岡琢也は、橋本のような仕事のやり方は今では通用しないと話す。

    「生身の役者が演じるわけだから、多少(脚本を)変えたり、シーンを入れ替えたりするというのは以前からあった。昔はプロデューサーから前もって『この部分を変えます』という連絡があったけれど、それもだんだんなくなっていった。

    今は監督、役者たちが勝手に変えている。特にテレビの人は、決定稿ですと言って(完成した原稿を)渡したときは『ありがとうございました』と言うけど、後は自分たちで変えればいいと思っている。決定稿とは名ばかり。いわば『名ばかり決定稿』ですよ。

    とはいえ、テレビドラマというのは映画と違って尺が決まっているから、放送時間をいかに埋めるかという作業でもある。CMとの絡みとか、撮影所を使える日程の都合とかで、脚本に手を入れるのはやむをえない部分もある」

    そもそも、日本のテレビドラマはテーマが限られている。ほとんどのドラマは恋愛物、あるいはサスペンスである。欧米では政治物やSF物なども人気を博しているが、なぜ日本ではそうしたドラマが作られないのか。

    「民放のドラマの場合、CMのスポンサー企業の商品に、化粧品といった20代、30代の女性をターゲットにした物が多い。だから、それにふさわしい番組を作ろうという話になってくる。当然、難しい社会派の内容は見ないから、恋愛物だというふうになる。素材は限られてきますよね」(西岡)

    一方、サスペンスの2時間ドラマの対象とされる年齢層はもっと上になる。

    「あれは、例えば序盤に笑えるシーンがあって、10時くらいになると犯人だと思われていた人が死んで、最後は意外な人物が断崖の上で犯罪を告白するというふうに、構成のパターンが決まっている。

    殺し方にしてもあまり残虐過ぎてはいけないし、2時間でまとめなきゃならないので、動機が入り組んでいると時間内に説明できないから駄目。そうなると借金、あるいは夫の愛人、遺産を巡る争いなど、いくつかのパターンに集約される。

    なぜそういうドラマが量産されているかというと、単純に視聴率が取れるから」

    いつの時代も犯罪はつきない。そして時代によって、社会の歪みは変わり、犯罪の質も手口も、動機も変わるものだ。本来ならば、テレビドラマはそこに目を向けるべきではないのか――。

    こう問うと、脚本家の坂田義和は首を振った。坂田もまた日本シナリオ作家協会の会員である。

    「例えば、今年1月にオンエアーされた『愛を乞うひと』は、出来不出来は別にして、幼児虐待を扱った社会派のドラマだった。当然、内容は暗くなり、視聴率も期待できない。こうしたドラマは、文部科学省などの『お墨付き』がない限り作りづらいというのが現状です」

    『愛を乞うひと』は篠原涼子主演、読売テレビ制作で、文部科学省選定スペシャルドラマとして2017年1月に放映された。連続ドラマではなく、単発の作品である。

    ば松本清張。彼の名前は視聴率が取れるとテレビ局が判断しているのか、今なお彼の原作を使ったドラマは作られている。中でも『砂の器』は映画化、テレビドラマ化が何度も行われてきた。

    『砂の器』の原作では、犯人は自身の父親がハンセン病であることを隠すために殺人を犯すのだが、1974年製作の映画化の際には、こうした設定が「ハンセン病に対する差別を助長する」として患者団体から抗議を受けた過去がある。2004年に中居正広(SMAP)の主演でリメイクされたときは、この「父親がハンセン病」という設定そのものが消え、作品から毒が抜かれることになった。

    同じ松本清張の原作でも、時代設定が現代に置き換えられることもある。これはストーリーの都合というよりは、経費削減によるものだと前出の西岡は指摘する。

    「2007年にリメイクされた『点と線』のように昭和30年代の街並みを再現したものもありましたが、普通はそこまでできない。お金を掛けられないから、現代劇にする。そうなると松本清張さんが描こうとした物語でなくなってしまうんですよ」

    そして西岡はこうも続ける。

    「もちろん、例えば恋愛物であったとしても、大人の鑑賞に堪えうるドラマを作ることは可能です。ただ、全体的に今の作り方はやはり視聴率本位で、中身がどうなっているかを気にしない傾向がある。レベルがどんどん下がっているから、視聴者が韓流ドラマや海外ドラマに流れるのも分かります」

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