• No.1 イクラ

    16/12/08 14:47:26

    親の愛情を得られるチャンス?

     子どもたちが親の愛情を得られるチャンスと考える行動の典型が、不登校である。不登校は、学校生活の中で生徒や教師の何かしらの行動によって、子どもの気持ちが傷つけられたことで起こると思われているかもしれない。しかし、実際は、「親の愛情を得たい」「ほとんど自分と向き合ってくれない親と接する時間を持ちたい」という気持ちからも生じていることが多い。

     親の愛情不足から不登校になった典型的な例を、筆者の体験から紹介したい。

     その家族は地方都市の新興住宅地に小さな一軒家を構えている。両親は共に40代初め、子どもは、今どき珍しい5人兄妹である。この5人が、親の愛情、接する時間を求めて現在も日々苦心している。彼らの父は、結婚当初は安定した職に就いており、30歳を前に長期の住宅ローンを組んで、現在の家を購入した。

     しかし、まじめで融通が利かない性格からストレスをためるようになり、転職に追い込まれる。新しい職場にもなかなかなじめず、職場から帰宅後は職場での憂さ晴らしのために、寝るまでゲームに熱中するようになった。その頃、すでに3人の子どもがいたが、家事や育児はいっさい手伝わなかった。それだけでなく、自分の機嫌が悪いと子どものささいな行動を取り上げて、大声で怒鳴るようにもなった。

     その後も職場の人間関係が原因で転職を繰り返し、その都度、給料も労働条件も悪くなっていった。しかも、子どもは相次いで生まれ、生活は一層苦しくなる。そこで、母は、昼はスーパーのレジ打ち、夜はコンビニの深夜勤務とダブルワークで働くようになった。

     これまで、子どもたちの唯一の保護者であった母が、働きに出て家にいない時間が多くなったことから、子どもたちの不登校が次々と始まる。母は、深夜勤務明けの朝5時ころ帰宅し、夫や子どもの朝食を作って送り出し、家事をしたり睡眠を取ったりしながら午後3時ころまで家にいる。その後スーパーで働き、午後9時過ぎに帰宅。そして、午後11時半頃近所のコンビニに向かうという生活である。時給の高い深夜のコンビニ勤務は、家計を考えるとどうしても欠かせないと、現在も週5日、このシフトで仕事をしている。平日の仕事が休みの日は、くたくたになって泥のように寝ているという。このような生活をもう5年以上も続けている母の頑張りは、驚嘆ものだ。しかし、学校に通う子どもが家にいる時間と、母が家にいられる時間がほぼすれ違いになっている。母が家にいる時間帯に、母と接したいと考える子どもたちが学校に行かずに、家で母にまとわりついているというのが、この家庭の常態になってしまったのである。

    典型的なヤンキーの風貌や言動の裏には…

     現在、上の2人は同じ「教育困難校」に通う高校生である。限られた在宅時間の中で母は幼くて手のかかる弟や妹にどうしても目を向けるので、彼らの愛情渇望は学校に行かずに家にいても、満たされなかったようだ。そこで、中学生の頃の彼らは学校には行かないものの、夜になると地元の仲間とつるんで悪さをし、何度も補導された。高校生になって、アルバイトを始め、少し落ち着いたと周囲から言われているが、典型的なヤンキーの風貌や言動の裏に、愛情の飢餓感と寂しさが見え隠れする。しかし、学校では禁止されている2輪バイク免許の無断取得や飲酒・喫煙、さらに恐喝などでたびたび生徒指導の懲戒を受けている2人が、無事に卒業できるかといえば、それは悲観的に考えざるをえない。

     下の3人も、中学校、小学校でそれぞれ不登校になっている。兄妹の仲は決してよくない。限られた母の愛情を取り合うライバルだからだろう。母は、心配しながらも、何もできないとあきらめている感がある。そして、父は相変わらず帰宅後は寝るまでゲームに熱中している。時々、「俺は嫌でも会社に行っているのに、なんで学校に行かないんだ!」と感情を爆発させることはあっても、子どもと真剣にかかわろうとする気持ちはいまだまったくみられない。

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