• No.2 消極ピエロ

    16/11/24 09:14:48


    2012年01月21日

    『死霊狩り』を読んでみた
    『死霊狩り』 平井和正

    平井和正といえば『幻魔大戦』『ウルフガイ・シリーズ』が代表作だろう。
    『幻魔大戦』は『幻魔大戦』『真幻魔大戦』『新幻魔大戦』の三系統に分かれているが(漫画版、映画も含めるとさらに増える)、『幻魔大戦』と『真幻魔大戦』は、なんだか別方向へ物語が進んで行ったので途中で挫折。『新幻魔大戦』は一巻で、一応切り良く終わっていたので、もし興味のある方は、こちらから読まれるとよいかと思う。

    『死霊狩り』と書いて、ゾンビー・ハンターと読む。
    ゾンビーはバイオ・ハザードや一連の映画で有名なゾンビのことである。
    ただ、死者が復活したゾンビではなく、この作品内では、アメーバー状の地球外生命体に取り憑かれ、異常な治癒能力を身に付けた人間を、人類の敵とみなして、ゾンビーと呼んでいる。
    ゾンビー・ハンターは、その地球外生命体に取り憑かれた人間および、地球外生命体を狩り出し、抹殺する世界的な秘密組織である。
    敵が地球体生命体であることから、人類内部の敵対関係を超越して、ハンターが世界各国から強引に集められる。
    パレスチナ人民解放先生の女戦士、ライラ・アミン。
    超過激派黒人団体、ブラック・パンサー党のウィリアム・ホフマン。
    中国保安省、破壊工作員の林石隆。
    マフィア、FBI、自然保護局、あらゆる場所から、ずば抜けた戦闘能力、生存能力、そして幸運を持つ者が、本人の意思とは無関係に集められる。
    主人公の田村俊夫は、日本のF1ドライバーであり、傷害事件を起こして逃走中に、ゾンビー・ハンターから接触を受ける。
    彼らは、猛獣が徘徊する孤島での選別試験を手始めに、最強の戦士へと作り挙げられていく。
    『地球人類を守る』という大義名分を掲げつつ、その実態は、ただ異種というだけで、友好的かそうでないかも確かめず、徹底的に排除するというゾンビー・ハンターの思想に、田村俊夫は疑問を持つ。
    非情な組織は、一端、田村俊夫を解放すると、彼の悩みを一掃するため、たった一人の肉親である姉を利用する。
    そして、田村俊夫は復讐鬼となり、最強のゾンビー・ハンターの一人へと変貌する。

    シビアな物語であり、まったく退屈させない。また戦闘シーンも読み応えがある。
    全三冊。どの巻も、何度も読み返したものである。

    ちなみにゾンビという存在が一般的になったのは、ジョージ・A・ロメロ監督の映画『ゾンビ』によるところが大きいが、映画『ゾンビ』の公開は1978年。この『死霊狩り』の初版発行は1975年で、ゾンビー・ハンターの名称は、映画の影響を受けていないものと思う。

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