• No.1 続き

    16/05/11 09:06:04

    「俺だって仕事に追われて大変なんだ」という言い分もあるだろう。

    たしかに男性に対する仕事のプレッシャーは非常に強く、近ごろでは「男の生きづらさ」を指摘する声もあがっている。

    が、妻たちは「男性が仕事で手がいっぱいで、家庭のことに非協力的」だから許せないのではなく、「男性の想像力が欠如しすぎていて、家庭をないがしろしている」から、死を願うようになっている。
    そして、「実質的には母子家庭」と妻たちが思うほど、家庭のなかで自分が排除されてしまっていることに夫たちが気づきもしないのもまた、想像力の欠如ゆえである。

     それほど関係が悪化しているにもかかわらず離婚を選ばないのが、不思議でならないという人もいるだろう。

    その理由として、遺族年金や、団体信用保険の加入により夫の死後、家のローンの返済が保障される制度など、「離婚より死別がお得」な事実が本書で明かされているが、それ以上に「離婚した女性に与えられる社会からのスティグマ(負の烙印)」を感じずにはいられない。

     男女間の賃金格差が大きく、シングルマザーが子どもを抱えながらできる仕事は限られていて生活自体がままならない。
    離婚した父親から養育費を受け取っている母子家庭は2割にも満たない現状もあり、経済的にたいへん厳しい状況にさらされるとなると離婚という選択肢には手を出せない人が多い。

    ≫続く

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返信コメント

  • No.2 続き

    16/05/11 09:09:22

    >>1
     加えて、妻たちは世間の目も気にしている。自分の両親が離婚しているため自分も別れると「やっぱりね」と思われるのではないかと気に病む妻、女が仕事をしているから離婚するはめになると思われたくないから踏みとどまる妻。

    教員である女性は、生徒に「人間として信頼される生き様を見せなければならない」として婚姻の継続を選んでいる。

    社会から求められる規範の強さが、「死んでほしい」と願う人と願われる人がひとつ屋根の下で暮らすという、いびつな家庭を生んでいる。

     それでも、若い世代は変わってきていると本書は指摘する。「家事は女性がするものだ」とは思わず、「家事をすることは、家庭のなかでの自分の大事な役割である」と考える男性は増えているという。

    上の世代は晩婚化を嘆くばかりだが、こうした考えの持ち主であれば結婚する年齢がいくつであっても、結婚生活の質はよいものになるのではないか。

     おそるおそる本書を手に取る男性は、おそらく妻から
    「死んでほしい」とは思われていない。

    「ウチは大丈夫」
    「俺はちゃんとやっているから」という男性にこそ読んでほしい……のだが、どうしたら彼らに届けられるのだろう。

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