• No.1257 牛乳

    16/04/30 22:49:54

    熊本地震の被災地では、避難生活を送る子どもや親から、学校の再開を待ち望む声が高まっている。被害を免れた校舎には、今も家を失った被災者が身を寄せている。仮設住宅建設は始まったが早期に避難所を解消することは難しく、避難所と教室との「共存」が大型連休明けから本格的に始まる。

    ピーク時で約2000人が車中泊をした熊本県益城(ましき)町の「グランメッセ熊本」。一家6人で4月25日まで軽乗用車2台で生活していた戸田美加さん(39)は、無意識に自分の髪を抜く行為を繰り返す中2の長男(13)に言葉を失った。この行動に気付いたのは、16日未明に起きたマグニチュード(M)7.3の地震の数日後だった。

    町立益城中のサッカー部で毎日遅くまで練習に明け暮れていた長男は、笑顔をあまり見せなくなり、わがままを言わない代わりに口数が減った。ある時、ぽつりとこぼした。「学校が始まってほしい。早くサッカーがしたい」。美加さんは「やっぱり同年代の気心知れた子といるのがいいんだと思う」と実感した。

    益城町では5小学校と2中学校が休校中だ。うち4小学校が避難所になっている。町教育委員会は全校を5月9日午後をめどに再開する方針で、1週間程度は授業を行わず、心のケアに努めるという。

    ピーク時は500人以上が避難した町立広安西小では、775人が学んでいた2階建て校舎の教室や廊下にも布団が並ぶ。避難所運営を担う教職員ら約50人は、23日から児童の詳しい被災状況の調査を始めている。地震後は校舎に土足で入ることを認めていたが、禁止エリアをつくった。

    田中壮介教頭(56)は「避難者が一斉にいなくなることはない」と語る。町は各校の体育館を従来通り避難所として使う方針だ。町教委学校教育課の福岡広徳課長は「子どもたちは授業開始が遅れてハンディを負っているかもしれないが、被災者とのつながりを持つことで成長できることがある」と話し、「共存」の教育的効果について検討し始めている。

    東日本大震災(2011年3月)後の岩手県沿岸部の小中学校では、新学期のスタートが4月後半までずれ込んだ。避難所になった体育館で開かれた小学校の入学式では、避難者が新1年生を拍手で迎えた。県教委復興教育担当の澤口良夫さんは「子どもたちにお年寄りを思いやる心が芽生えた」と当時を振り返る。

    熊本県と熊本市の両教育委員会によると、県内では28日現在、公立の小中学校と高校、特別支援学校など計614校のうち222校が休校し、授業を受けられていない児童・生徒は約10万人に上るとみられる。熊本市では24~28日、校舎に被害がなく避難所が解消された小中学校6校を開校したが、残り計131校のうち100校以上は再開の見通しが立っていない。

    熊本市教委教育政策課の緒方公課長は「安全な公共施設や学校はだいたい避難所になっている」と話し、体育館や教室の一部などに避難所を集約して教室とすみ分けることなどをせざるを得ないという。「避難者を第一に考え、避難者の理解を得ることが大事」とし、「教室があれば勉強が始められる。再開することが子どもたちの心のケアにつながる」と強調した。

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