• No.1 匿名

    15/11/24 08:30:46

    「106万の壁」は「69万6,000円の壁」へ

    社会保険の適用拡大による「106万円の壁」は序章にすぎない
    「106万の壁」は序章にすぎない
    政府としてはこの問題に対して、ただ手をこまねいているわけではなく、平成28年10月1日から、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の適用者を拡大します。

    つまり次のような要件を満たしますと、本人の意思の有無にかかわらず、社会保険に加入する必要があるのです。

    A:1週間の所定労働時間が20時間以上
    B:給与の月額が8万8,000円以上(年収に換算すると106万円以上)
    C:勤務期間が1年以上
    D:学生でないこと
    E:従業員数が501人以上の企業に勤務していること

    ただこの改正により新たに社会保険の加入者になるのは、約25万人と推定されており、決して大きな数字ではないのです。

    厚生労働省が発表している、「平成25年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平成25年度末の国民年金の加入者の人数は、次のようになっております。

    自分で保険料を納付する第1号被保険者:1,805万人
    配偶者の扶養となり保険料を納付しない第3号被保険者:945万人

    これらの合計と比較すると約25万人というのは、1%程度にすぎませんから、ほとんどの方には何ら影響がないのです。

    そのため平成26年9月に自民党や公明党は、このA~Eを見直して、更に社会保険の適用者を拡大する議論を開始しました。

    まだ何も決定されておりませんが、その時には次のような2案が例示されました。

    (1)B、Eを見直し

    1つ目の案はA、C、Dの要件は見直しせず、B、Eを次のように変更するというものです。

     B:給与の月額が5万8,000円以上(年収に換算すると69万6,000円以上)

     E:従業員数が法人(株式会社など)なら常時1人以上、個人事業なら常時5人以上の事業所に勤務していること

    (2)A、B、C、Eを見直し

    2つ目の案はA、C、Eの要件を廃止して、つまり1週間の所定労働時間、勤務期間、従業員数がいくつであっても、社会保険に加入することにして、Bを次のように変更するというものです。

     B:給与の月額が5万8,000円以上(年収に換算すると69万6,000円以上)

    以上のようになりますが、これらはあくまで案であり、この通りになると決まったわけではありません。

    ただ平成28年10月1日の適用拡大から「3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講じる」と、法律に明記されているので、「106万の壁」は序章にすぎないと思うのです。

    社会保険の適用拡大をマイナスに考えない

    社会保険の適用拡大による「106万円の壁」は序章にすぎない
    社会保険の適用にはメリットもある
    老齢基礎年金の上乗せとなる老齢厚生年金が支給されるのは、原則として65歳からになります。

    しかし厚生年金保険の加入期間が1年以上ある、昭和41年4月1日以前に生まれた女性は、60歳から65歳までの間に、特別支給の老齢厚生年金を受給できるのです。

    そして厚生年金保険に加入して保険料を納付すれば、その分だけこの金額は増えていきます。

    また厚生年金保険に加入していれば、一定の障害状態になった時に、障害基礎年金に上乗せして、障害厚生年金が支給されます。

    こういったメリットがありますので、社会保険の適用が拡大されることを、あまりマイナスに考えない方が良いと思うのです。(執筆者:木村 公司)

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