• No.9 つづき

    15/02/21 10:59:02

    >>8
    ◇停戦合意は13項目からなる◇

    「ミンスクII」は、以下の13項目からなる合意です。

    (1)2月15日0時をもっての全面的停戦。

    (2)最低50キロ幅の緩衝地帯を設けるために相互に重火器を撤去すること。

    (3)OSCEによる停戦監視。

    (4)ドネツクとルガンスクでの地方選挙の実施に関する協議を開始し、特別な地位を与える領域をウクライナ議会が法的に確定すること。

    (5)ドネツク、ルガンスクでの行為に関する法的責任の免除。

    (6)相互に囚われている捕虜全員の交換。

    (7)これらの地域における人道的支援。

    (8)これらの地域における、年金支給を含む、社会経済的な結びつきの整備。

    (9)2015年末までに地方選挙と対立の政治解決を行った後、ウクライナ政府が紛争地帯の国境を管理すること。

    (10)外国の武装集団の撤退と、違法な武装集団の武装解除。

    (11)2015年末までに地方分権を定めた憲法改正を行い、ドネツク、ルガンスクに特別な地位を保障する恒久法を定めること。

    (12)地方選挙に関する問題は、三者コンタクト・グループ(ウクライナ、ロシア、OSCE)の枠組みの中でドネツク、ルガンスクの代表者と協議のうえ決定され、選挙はOSCEの監視下で行われること。

    (13)合意実施に向けて三者コンタクト・グループの活動を強化すること。

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  • No.10 つづき

    15/02/21 11:02:35

    >>9
    ◇4か国首脳それぞれの思惑◇

     「ミンスクII」の内容は、2014年9月の「ミンスクI」とほとんど同じで、停戦を維持しながら、国境を変更せず、ウクライナが連邦制の導入を含めた地方分権を行う方向性は、かねてからのロシアの主張に沿ったものです。

    その意味で、ロシアにとって失うものは何もありません。

     それに対して、ポロシェンコ大統領はEUやNATOへの加盟を目指し、ロシアや親ロシア派と対立してきました。

    高度な自治権をドネツクなどに認めればロシアの影響力が残るため、連邦制の導入には一貫して消極的でした。

    したがって、ウクライナ政府からみて「ミンスクII」は不満の残るもので、これ以上の戦闘を回避するための妥協といえます。

     親欧米派をバックアップしてウクライナをEU圏に組み込もうとしてきた欧米諸国からみても、ほぼ同様です。

    なかでも米国からすると、この合意で状況が安定すれば、NATO加盟国でもないウクライナをめぐって、これ以上ロシアとの緊張をエスカレートさせなくて済む一方、あからさまに軍事力を背景とするロシアのシナリオ通りに進むことは、超大国としての影響力の低下を国際的に印象付けることにもなります。

    次へ

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  • No.11 つづき

    15/02/21 11:03:59

    >>10
    ◇笑顔のロシアの不安材料◇

     ウクライナ危機は、冷戦終結後にEUやNATOが中東欧に加盟国を増やし、その境界線が自らの勢力圏に迫ってきたことへのロシアの危機感を大きな背景とします。

    ロシアに隣接するウクライナに手を伸ばしたことで、いわば欧米諸国は「虎の尾を踏んだ」わけですが、領土を広げることではなく、ウクライナ全体が欧米圏に組み込まれることの阻止がロシアの最大の目的だとすれば、「ミンスクII」はそれに適う内容といえます。

    逆に、その交渉を有利にするためなら軍事行動も辞さないロシアに、欧米諸国が圧倒された格好です。

     ただし、停戦が実現するかは不透明です。

    最大の懸念材料は、軍事的にウクライナ軍を圧倒して活気づく親ロシア派を、ロシア政府がどこまで抑えられるかです。

    ロシアにとって交渉を有利にするコマでもあった親ロシア派が、その意思を超えた活動を拡大させれば、独仏の仲介を静観していた米国がウクライナ支援を本格化させる契機になり得ます。

    それは戦闘のさらなる長期化、大規模化を招くといえるでしょう。

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