• No.8 長文ぺた

    15/02/21 10:56:17

    <ウクライナ停戦合意> どこまでプーチン大統領の“思う壺”なのか? 国際政治学者・六辻彰二
    THE PAGE 2月20日(金)17時56分配信

     2月11日、ウクライナ、ロシアとドイツ、フランスの4か国首脳がベラルーシのミンスクで会談。
    ウクライナ東部ドネツクとルガンスクでの戦闘に関して、16時間におよぶ協議の末に、15日からの停戦など13項目が合意されました(ミンスクII)。

    しかし、会談後の会見でロシアのプーチン大統領が笑顔をみせたのに対して、ウクライナのポロシェンコ大統領は渋い表情を崩しませんでした。

    今回の停戦合意「ミンスクII」は、それぞれにとって、どんな意味があるのでしょうか。

    ◇“2度目の”停戦合意◇

     人口約100万人のうち約48%をロシア系が占めるドネツクでは、ロシアがクリミアを編入した2014年3月以降、親ロシア派とウクライナ当局の衝突が激化。

    5月には親ロシア派の主導で住民投票が一方的に行われ、賛成多数をもって「ドネツク自治共和国」が独立を宣言。

    親ロシア派はクリミアと同様、ロシア編入を希望していますが、当のロシア政府は連邦制の導入と自治権の拡大をウクライナに提案しています。

     一方、5月に就任した欧米寄りのポロシェンコ大統領は、親ロシア派を「国家分裂を図るテロリスト」と位置づけ、掃討作戦を開始。
    当初ウクライナ軍が優勢とみられましたが、ロシアによる親ロシア派への支援で情勢は膠着しました。

    ロシアは軍事支援を否定していますが、7月のマレーシア航空機撃墜事件などもあって国際的な批判は高まり、9月にはロシア政府とOSCE(欧州安全保障協力機構)代表者の同席の下、ウクライナ政府と親ロシア派が協議し、停戦と緩衝地帯の設置など9項目に合意したのです(ミンスクI)

     ところが、その後も戦闘は収まらず、ウクライナ政府と親ロシア派は相互に「相手が協定を破った」と非難を応酬。

    2015年1月には親ロシア派が要衝マリウポリを占拠し、米国政府がウクライナへの軍事支援を検討し始めたなか、戦闘のさらなる拡大を恐れたドイツとフランスが仲介に乗り出したのです。

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  • No.9 つづき

    15/02/21 10:59:02

    >>8
    ◇停戦合意は13項目からなる◇

    「ミンスクII」は、以下の13項目からなる合意です。

    (1)2月15日0時をもっての全面的停戦。

    (2)最低50キロ幅の緩衝地帯を設けるために相互に重火器を撤去すること。

    (3)OSCEによる停戦監視。

    (4)ドネツクとルガンスクでの地方選挙の実施に関する協議を開始し、特別な地位を与える領域をウクライナ議会が法的に確定すること。

    (5)ドネツク、ルガンスクでの行為に関する法的責任の免除。

    (6)相互に囚われている捕虜全員の交換。

    (7)これらの地域における人道的支援。

    (8)これらの地域における、年金支給を含む、社会経済的な結びつきの整備。

    (9)2015年末までに地方選挙と対立の政治解決を行った後、ウクライナ政府が紛争地帯の国境を管理すること。

    (10)外国の武装集団の撤退と、違法な武装集団の武装解除。

    (11)2015年末までに地方分権を定めた憲法改正を行い、ドネツク、ルガンスクに特別な地位を保障する恒久法を定めること。

    (12)地方選挙に関する問題は、三者コンタクト・グループ(ウクライナ、ロシア、OSCE)の枠組みの中でドネツク、ルガンスクの代表者と協議のうえ決定され、選挙はOSCEの監視下で行われること。

    (13)合意実施に向けて三者コンタクト・グループの活動を強化すること。

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返信コメント

  • No.10 つづき

    15/02/21 11:02:35

    >>9
    ◇4か国首脳それぞれの思惑◇

     「ミンスクII」の内容は、2014年9月の「ミンスクI」とほとんど同じで、停戦を維持しながら、国境を変更せず、ウクライナが連邦制の導入を含めた地方分権を行う方向性は、かねてからのロシアの主張に沿ったものです。

    その意味で、ロシアにとって失うものは何もありません。

     それに対して、ポロシェンコ大統領はEUやNATOへの加盟を目指し、ロシアや親ロシア派と対立してきました。

    高度な自治権をドネツクなどに認めればロシアの影響力が残るため、連邦制の導入には一貫して消極的でした。

    したがって、ウクライナ政府からみて「ミンスクII」は不満の残るもので、これ以上の戦闘を回避するための妥協といえます。

     親欧米派をバックアップしてウクライナをEU圏に組み込もうとしてきた欧米諸国からみても、ほぼ同様です。

    なかでも米国からすると、この合意で状況が安定すれば、NATO加盟国でもないウクライナをめぐって、これ以上ロシアとの緊張をエスカレートさせなくて済む一方、あからさまに軍事力を背景とするロシアのシナリオ通りに進むことは、超大国としての影響力の低下を国際的に印象付けることにもなります。

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