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- 14/04/26 22:44:46
産経新聞 4月26日 21時30分配信
不妊治療の体外受精で行われるホルモン補充。ペン型の注射器などを使って患者が自分で毎日注射することもある。ただ、治療は先が見えず、費用負担も重くのしかかる。国の支援は「時代の要請」となっている(写真:産経新聞)
晩産化が進む中、特に30~40代の夫婦にとって、不妊治療は身近なテーマとなりつつある。
日本産科婦人科学会によると、平成23年に国内で体外受精によって生まれた赤ちゃんは3万2426人。この年生まれた赤ちゃんの3・1%で、わずかな数字にもみえるが、小学校のクラスに1人はいる計算だ。
だが、不妊治療への社会的認知度は、必ずしも浸透しているとは言い難い。
不妊治療を受ける夫婦らの自助組織であるNPO法人「Fine」(ファイン、本部・東京)が昨年、会員ら約2千人を対象に行ったアンケートでは、「治療により仕事や予定に支障をきたした」と回答した人は86・6%にのぼり、4人に1人が「理解が得られない」といった不安から、治療を受けていることを職場に伝えていなかった。
一方で、女性の精神的負担は大きい。同法人の関西支部長で不妊カウンセラーとして活動する堀田敬子さん(48)=大阪府豊中市=によると、妊娠できずに体外受精を続けている女性は、ようやく妊娠しても流産することが多く、まだ見ぬわが子との“死別”を幾度となく経験する。傷が癒えないうちに、また次の治療に向かう。負のサイクルの中で、鬱状態に陥る人が少なくないという。
■膨大な費用、先が見えない不安
不妊治療のもう一つ大きな問題は、経済的負担の大きさだ。保険が適用されない治療が多く、治療費が高額になりやすい。体外受精などの高度医療は適用対象外で、1回あたり30万~50万円かかる。遠方のクリニックへ通う場合は旅費が別途必要になる。
ファインのアンケートでは、通院を始めてからの医療費の総額について「100万円以上~200万円未満」が24・8%と最も多かったが、「500万円以上」も4・6%いた。
治療の内容や期間によっては、千万円単位に膨らむケースもある。アンケートでは、81%が経済的負担を理由に、高額な治療を躊躇(ちゅうちょ)・延期したと回答した。
横浜市の大橋正也さん(34)、由美子さん(38)夫妻=いずれも仮名=は、地元の病院で妊娠が極めて困難な症例にあたることを知った。インターネットで調べ抜いた末、セントマザー産婦人科医院(北九州市)での治療なら望みをつなげると分かり、はるばる通院。2度目の体外受精で、1年前に長男を授かることができた。
「先進的な病院で、可能性の高い治療を」。切実な思いが勝ったが、交通費や宿泊費を含め、北九州に通うごとに50万~60万円の費用がかかったという。
「妊娠が判明し、安定するまでは、治療がどこまで続くのか先が見えなかった」と由美子さん。正也さんは「だからこそ、国や自治体は、治療を受ける人を金銭面や情報面で支えてほしい」と訴える
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