- 下話
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「よし、早く部屋を出よう。」
ここは、冷静さを取り戻すにはあまりにも彼女の匂いが残り過ぎている。
急いで髪を整え、お気に入りの服を選び、着る。
ハットを頭に乗せ、鏡を見る。
「よし!って、痛ってぇぇぇ!!!」
何かを踏んづけた。
ん‥?なんだ‥?
床を見ると、キラリと光るものが落ちていた。
俺はそれをそっと拾い上げ、左手に取った。
「あっ‥」
彼女の笑顔が思い浮かぶ‥
ライブの話を無我夢中で話す、あの彼女の笑顔
‥
俺は左手をギュッと握りしめ、それを自分の身に纏った。
俺には、待っていてくれているファンがいる。
そして、そんなファンを笑顔にしたいという同じ思いを抱えたメンバー。
俺は熱い思いを胸に、みんなの待つドームを目指した。
【終わり】- 0
14/09/24 00:00:17