嵐(妄想・小説) へのコメント(No.5008

  • No.5008

    15/01/12 20:06:59

    閉館間際の水族館は誰もいない。
    私達の目の前には空の大きな容器が一つ。きっと昼間は子供達の賑やかな声が響いているのだろうと考える。

    「本当にごめんね」
    「相葉君のせいじゃないから大丈夫」
    「ちゃんと俺が調べておけば良かった。本当にごめんなさい」

    しんと静まり返った館内で聞く彼の声は優しく甘い。

    『ドクターフィッシュ、やってみたい!って言ってたでしょ!行こうよ』

    突然の彼からの連絡で連れて来られた閉館間際の水族館。ドクターフィッシュの体験が出来ると言う水族館は小さな小さな水族館。体験は1日5回と時間が決まっていて、今日の体験時間はとっくのとうに終わっていた。

    「本当にごめんね」
    「何回も謝らなくていいよ、本当に」
    「怒ってる?」
    「怒ってないよ」
    「本当に?」

    段々と不安そうになる彼の声に私の眉も下がってくる。

    「本当に怒ってないよ」
    「…ごめんね」
    「…大丈夫。…でも私、ドクターフィッシュやりたいって言ったっけ?」
    「言ったよ!」
    「言ってないよ?」
    「言ったよ!」

    記憶にない。

    「ドクターフィッシュ、やってみたいって言ったよ!だから俺調べたんだもん」
    「…そっか…ごめんね」
    「ううん」

    調べてくれたんだ…。そっか。

    「相葉君、帰ろうか?忙しいんでしょ?」
    「…」
    「相葉君?」

    小さなダウンライトが照らす水槽の前でパンツのポケットに手を入れ目深に帽子をかぶっている彼の手が、体が、頭がゆっくりと動く。

    その動きはスローに私の目から脳に記憶される。

    彼の手が私の腕を掴み、ゆっくりと首を傾け、私の唇に彼の影が落ちる。

    呼吸を忘れたその一瞬は突然の事。

    「…」
    「…ごめんね」
    「…」
    「…怒ってる?」

    ドクターフィッシュが体験出来ないと知った時よりも不安そうな彼の声。

    「…」
    「…怒ってるよね?」
    「…怒ってるない…」
    「…俺、怒らせてばかりだね」
    「怒ってないから…」
    「…ないから…?」
    「…次は…突然にはやめて欲しい…かな…」

    私の腕を掴む彼の手に少し力が入る。

    「突然じゃなかったら怒らない?」
    「だから…怒ってないって…」

    次の言葉が予想出来て上手く言葉が出てこない。その言葉は甘い旋律。

    「してもいい?俺、ずっとしたかったんだ」


    終わり

コメント

古トピの為、これ以上コメントできません

返信コメント

  • No.5009 匿名

    15/01/13 12:24:42

    >>5008
    これすごい好き!また書いてください

1件~1件 (全1件)

広告
投稿するまえにもう一度確認

ママスタコミュニティはみんなで利用する共有の掲示板型コミュニティです。みんなが気持ちよく利用できる場にするためにご利用前には利用ルール・禁止事項をご確認いただき、投稿時には以下内容をもう一度ご確認ください。

上記すべてをご確認いただいた上で投稿してください。