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>>18717続き
○韓国の名誉毀損罪
韓国の刑法にも、名誉毀損罪がある。
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は…」などと規定されており、基本的にはわが国の名誉毀損罪と同様だ。
ただ、わが国と大きく異なるのは
(1)一般の名誉毀損と
(2)新聞、雑誌など出版物(ラジオやテレビ放送も含まれる)による名誉毀損とを区別して規定し、かつ、
(a)単なる事実摘示と
(b)虚偽の事実摘示とを区別して規定した上で、刑罰の軽重に差をつけている点だ(韓国刑法307条、309条)
例えば最高刑を見ると、
(1)(a)だと懲役2年、
(2)(a)だと懲役3年、
(1)(b)だと懲役5年、
最も悪質な(2)(b)だと懲役7年とされている。
わが国と比べると、虚偽の事実を摘示したケースや出版物を用いたケースに対する刑罰が格段に重くされていることが分かる。
他方で、(2)の新聞や雑誌など出版物を使った場合には、「言論の自由」とのバランスを図る観点から、
(1)では必要とされていない「人を誹謗する目的」が付加され、
(1)よりも犯罪の成立要件が厳しくなっている。
同様の趣旨から、摘示した事実が「真実」であり、専ら「公共の利益」に関するときは、処罰しないとされている(韓国刑法310条)
また、わが国のように被害者らの告訴までは要求されていないが、その明示した意思に反して起訴することはできない(韓国刑法312条)
○情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律
ところで、産経新聞前支局長は、産経新聞のウェブサイトを通じてコラムを配信している。
この点、韓国は、ウェブサイトのように電気通信設備やコンピュータを活用して情報を収集・加工したり、保存・検索したり、送受信する情報通信システムを「情報通信網」と定義し、その利用促進や個人情報保護の観点から、「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」(以下「情報通信網法」)という特別な法律を制定している。
そして、この法律の中に、「情報通信網」を通じた名誉毀損罪を定めている(情報通信網法70条)。
もっとも、その内容は、先ほど示した韓国刑法の名誉毀損罪における「出版物」の部分を「情報通信網」と読み替えるに等しいものだ。
続く- 0
15/12/19 21:44:36