• No.5 主 ネクタリン

    26/10/06 08:57:32

    ◆社会に苦しめられ、社会に救われた

    清野さんは現在に至るまで、社会から多くの支援を受けてきたという。生活保護制度や奨学金があったから大学に通うことができた。あの夜、警察も来てくれた。

    「税金でたくさん勉強させてもらいましたから。得た知識や能力は、社会のために使いたい」

    現在は、地方自治体や教育機関などと連携しながら、ヤングケアラーの子どもたちに対する教育支援活動を行っている。勉強したいのに家庭の問題で勉強できない。大学へ行くことさえ人生の選択肢として思い描けない。そんな子どもたちに、少しでも教育を届けたい。

    ただし、20代の今と、30代、40代になった自分では、社会に返せるものも変わっていくだろうとも考えているそうだ。

    「今は自分の勉強の経験やノウハウが生かせるので、教育の仕事をしています。でも、いずれそれが古くなってきたら、そのときは大学生活を通じて学んだことを社会に還元したい」

    そのために今、ロースクールで法律を学び、研究を行っている。司法、立法、行政……日本社会の制度の根幹に携わり、民間や個人の力では及ばない領域にも手を差し伸べるためだ。

    8月には自伝『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで――家事、介護、そして勉強 それでも僕はこの家から東大に行く』を刊行した。布団に置かれたナイフのことも、警察署で食べた菓子パンのことも、包丁を突きつけられた日のことも、すべてを自分の言葉で綴る。

    圧倒的な才能を持ちながら、家庭環境によって、その能力を発揮する機会さえ失いかけた少年。社会に苦しめられ、社会に救われた青年は今、その社会を少しでも変える側に回ろうとしている。清野孝弥さんの「神童のその後」は、まだ始まったばかりだ。

    https://toyokeizai.net/articles/-/958137

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