• No.3 奇石

    25/11/18 09:48:21

    Aさんが襲われたことにより、店はその日に臨時休業の選択肢を取った。現在ものれんは店内にしまったままだ。オーナーの佐々木さんは語る。

    「(お店で提供しているのは)自家製麺なので、店の裏に麺を仕込む小屋があるんです。営業前は従業員がみんな通るところでもある。そこで子グマに襲われた。もしかしたら他の従業員が襲われていたかもしれない。小柄な女性が襲われていたらどうなっていたことか。このあたりはクマを見ることがあっても、いままで人が襲われることは一度もなかったんだ。

    現在、クマ対策用の柵を設置しようとしており、数十万円のお金がかかる。店を休業したことにより、売り上げも入ってこない。商工会に聞いたら補助金はないって。従業員を守るために必要なことで、仕方ないと割り切っているが、クマ被害が全国では多発しているんだから、なにか制度があってもいいんじゃねえか」(オーナー・佐々木さん)

    Aさんもいち早くの社会復帰を望んでいるという。佐々木さんが続ける。

    「(Aさんは)透析の専門病院に長年勤めていたが、どうしても好きなラーメンの仕事をしたかったと聞いている。もともと中学校時代からのお互いを知っていて、同じ学年で他校同士だったものの野球仲間ということで顔なじみだった。ある日、急に電話がかかってきて、『働かせてほしい』と頼みこまれた。

    医療系とは畑違いの仕事でもあるから、向いていないかもと思って断っていたけど、熱量に負けて去年7月頃から働いてもらっていた。仕事は真面目だし、責任感があるまじめな男だよ。仕込みも覚えて、“やれてるな”って思ってたところでこの事故だった」

    Aさんはいまも周囲に「自分が休んでしまったことで、迷惑をかけてしまっている」「早く仕事に戻りたい」と漏らしているという。

    クマは間も無く冬眠期に入るが、冬眠が遅れることも懸念されており、今年いっぱい警戒が続く。

    https://shueisha.online/articles/-/255629

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