出る杭は打たれる
去年11月のある夜、美佐子さんが、次男の食事を準備して、食べさせていたときに、和樹さんが、1人きりで、家の外に出て行ってしまいました。
和樹さんは、自宅のすぐ近くにある、量販店を訪れていました。販売されている菓子を買い物かごに入れ、レジに並んでいたそうですが、お金を持っておらず、そもそも、支払いの方法がわからないので、気が動転して、パニックになり、着ていた服を、ほぼすべて脱いでしまったのだそうです
和樹さんは、警察に保護されました。和樹さんが、警察に保護されたのは、初めてではありません。これまでにも、自宅を飛び出し、行方不明になるなどして、警察が何度も、保護してくれました。
「何十回、いや、100回近くあるかもしれない。警察に保護された回数は、数え切れない」と、美佐子さんは話します。
(中略)
問題は、和樹さんが「退院した後、どこで暮らすのか?」ということ。茂さんは、「世の中の全ての人が息子を見捨てても、自分たちだけは息子を見捨てたくない。もう一度、息子を抱きしめたいんです」と、涙を流しながら、和樹さんへの思いを打ち明けてくれました。
一方の美佐子さんは、「自宅で支えるのは、もう限界です。医療スタッフや専門性の高い職員が支えてくれる“入所施設”に、お任せしたい
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