人生は一度きり
駄菓子がどんどん消えていく──「糸引き飴」終売だけじゃない業界の苦境 「懐かしい」は残酷な言葉だった
集英社オンライン
7/19(土)15:30
子どもたちに幸せを与えてきた駄菓子が、静かに、その姿を減らしつつある。2025年春、愛知県豊橋市にある耕生製菓が廃業を決め、昭和から続いていた「糸引き飴」の生産が5月末で終了した。駄菓子を取り巻く環境は、今どうなっているのだろうか。
◆続々と終売した駄菓子
近年、昭和から平成にかけて親しまれた多くの駄菓子が、次々と生産終了となっている。名古屋の鈴木製菓(有)が長年製造してきた「花串カステラ」は、製造主の健康上の理由により令和5年10月に製造を休止。そのまま再開されることなく、令和6年11月に廃業となり、同商品も姿を消した。
また、東豊製菓の「くるくるぼーゼリー」は設備の老朽化に伴い2020年に生産終了。よっちゃん食品工業の「らあめんババア」も、原材料の高騰とコロナ禍に伴う物流の問題を理由に同時期に終売となった。
アメハマ製菓の製造していた「いちごミルクキャンディ」や“10円当たり飴”も、2021年のメーカー廃業により終売に。そして、駄菓子ではないが駄菓子屋の名物商品だった「ようかいけむり」も、2020年に製造を終了している。
そして今度は、駄菓子屋の定番商品である「糸引き飴」の終売。ネット上では悲しみの声があふれた。
「ええまじかよ!また買いたいなって思ってたのに…」
「美味しかったし、楽しかったです。美しい思い出をありがとうございました」
「小学校のそばの駄菓子屋さんに必ずありました。平べったくて大きいのが当たりだったり。もう記憶の中でしか味わえない」
「子どものときに、なんかお得感がある感じがしたんだよね。残念だ」
しかしこうした声に対し、駄菓子屋研究家の土橋真さんは「“懐かしい”という言葉で終わらせてほしくない」と語る。
「懐かしい”という言葉を、みんなが枕詞のように使います。ですが、作っている側にとっては、あまり嬉しい言葉ではないと思います。“懐かしい”ということは、それだけ“食べていない”ということですからね。
続く
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