• No.2 山城守

    25/04/25 21:56:32

    >>1また、同論文に拠れば、小澤朗人氏等の右研究以前からチャノミドリヒメヨコバイに対するネオニコチノイド殺虫剤の防除効果の低下が現場から指摘されるようになったのである(同論文冒頭)。そうすると、態々かくの如く薬効が疑問視されているネオニコチノイド殺虫剤を好んで使う茶農家がそう多くいるのかという疑問が浮かぶ。更に遡って1999年には多々良 明 夫氏が「チ ャに お けるBT剤 とIGR剤 を基 幹 と した天 敵保 護 防 除体 系 下 での害 虫 と天 敵 類 の発 生」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ktpps1999/1999/46/1999_46_119/_pdf/-char/ja)題して天敵への影響が少ないBT剤(対象とする害虫に対して特異性(対象のみに効果を現す性質)の高い微生物を使った農薬(姫 野 道 夫「微 生 物 殺 虫 剤(BT剤)の 改 良 と作 用 メ カ ニズ ム」 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/microbes1996/14/4/14_4_245/_pdf/-char/ja)の 「1. は じめ に」を参照のこと)やIGR剤(昆虫の脱皮 , 変態や生殖 に かかわ る 生理作用をか く乱する化合物の総称(中村知史「昆虫成長制御剤開発の最近の動向」 (https://jppa.or.jp/archive/pdf/52_07_01.pdf)の「はじめに」を参照のこと))を使用した防除に係る研究を発表していること、平成9年2月発行『新・目で見る茶の病害虫』に主要害虫を対象とした複数のBT剤、IGR剤という選択毒性が高い薬剤が複数紹介されていることも踏まえると、態々ネオニコチノイド殺虫剤という薬効に疑問が残る薬剤を玉著執筆時点の2024年9月10日時点で使い続ける茶農家が果たしてどれだけいるか甚だ疑問である。
    (続く)

  • No.3 山城守

    25/04/25 21:57:18

    >>2更に、ネオニコチノイドは茶農家にとって別のデメリットもある。例えば、茶の主要害虫の一つとして知られるチャノコカクモンハマキの天敵の一であるキイロタマゴバチ(高木一夫「茶園に寄生蜂のモニタリング」(昭和49年10月農林省茶業試験場『茶業試 験報告第10号』p91-131(内当該箇所p99))はネオニコチノイド系農薬に対し高い感受性を持つことが指摘されている。石島力氏・藤 田 夏 姫氏・佐 藤 安 志氏・大泰司誠氏の研究に拠れば2005年8月に静岡県島田市金谷の野菜茶業研究所圃場のチャハマキ卵塊からキイロタマゴバチを採取し、各種農薬のキイロタマゴバチ雌成虫に対する補正死亡率を試験した処、チアクロプリド水和剤を除くネオニコチノイド系殺虫剤は補正死亡率83.3~100%の高い補正死亡率を示した一方、IGR系農薬ではピリプロキシフェンマイクロカプセル剤を除き13.3%~23.3%の低い補正死亡率が示され、チャノコカクモンハマキ、チャハマキの重要な天敵の一として知られるキイロタマゴバチがネオニコチノイドに対し高い感受性を持つことが示唆された (https://www.jstage.jst.go.jp/article/cha/2010/110/2010_110_59/_pdf 石島力氏・藤 田 夏 姫氏・佐 藤 安 志氏・大泰司誠「チャのハマキガ類の卵寄生蜂キイロタマゴバチ 成虫に対する各種農薬の影響」)。さて、病害虫の防除については平成17年9月30日日付で農林水産省消費・安全局長より各農政局長、沖縄総合事務局長、北海道知事宛に「総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針について」(17消安第6260号)が発せられ、右通達において利用可能なすべての防除技術を経済性を考慮しつつ慎重に検討し、病害虫・雑草の発生増加を抑えるための適切な手段を総合的に講じる総合的病害虫・雑草管理(IPM)が謳われ(https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/t0000830.html)、茶に関してはその一環として土着天敵の活用が謳われている(前掲通達「茶 別添(PDF:20KB)」 (https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/pdf/t0000830_10.pdf))。(続く)

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  • No.4 山城守

    25/04/25 21:59:12

    >>3また、平成19年11月1日に農林水産省講堂(7F)で開催された「環境に配慮した病害虫の防ぎ方~総合的病害虫・雑草管理(IPM)に関するフォーラム~」(https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11067929/www.maff.go.jp/j/syouan/johokan/risk_comm/r_kekka_boueki/h191101/index.html)ではIPMは生物的防除、物理的防除、化学的防除の特性をうまく利用して病害虫、雑草を防除するものであると消費・安全局植物防疫課課長補佐(防除第1班担当)は説明している(同議事録 (https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11067929/www.maff.go.jp/j/syouan/johokan/risk_comm/r_kekka_boueki/h191101/pdf/report1.pdf)p9)。また、同フォーラムでは静岡県袋井市で茶を栽培している荻原 克夫氏が登壇し、茶に係るIPMについての講演がなされており(前掲議事録p19~20)、配布された資料の中で天敵等に影響が少なくなるように、選択性の高い農薬を使用することが提唱されており(『資料 3 IPM実践農業者の紹介(2)荻原 克夫 さん』 (https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11067929/www.maff.go.jp/j/syouan/johokan/risk_comm/r_kekka_boueki/h191101/pdf/data3.pdf))、同講演中荻原氏は「やはり私たち農家というのは去年何をしたかということを全部記録してありますものですから、それに従ってやっていく。それからあと農協とかの防除暦に従ってやっていくということでやってきたわけですけれども、果たしてそれで本当にいいのだろうかなということ、いろんな障害が出てきました。(続く)

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