• No.3 百聞は一見に如かず

    25/02/19 17:19:08

    ◆“体制批判”を口にしてしまった親友の命運は――?

     夜に学校の先生が見回りに来たことはなかったが、昼夜問わず国家ぐるみで見回りされていた。それが北朝鮮、どこで誰が聞いているかわからない環境だ。ことわざっぽく言うと、“壁に金日成あり、障子に金正日あり”だ。

    「~~(親友の名前)! 頼む! もうやめてくれ! 一緒に日本帰ろう!」

     すると、ガイドが壁からひょっこり立ち上がって現れた。

    「ちょっといいですか?」

     ガイドの姿にようやく気づいた親友。一瞬顔が引きつったように見えたが、すでに詰んでいる、と何とも言えない顔をしていた。ガイドの男性の表情はサングラス越しのためわからない。

    「私は金正恩同志を信じています。ですから、金正恩同志に一生ついていきます」

     彼は僕の親友に何も言わず、ゆっくりとその場を去っていった。

     とりあえず親友が無事でよかった。北朝鮮では本音なんてもちろん言わない。言わないんじゃない言えない国なのだ。僕はこの修羅場の中、反町隆史さんの歌が頭の中でリフレインしていた。

    「言いたいことも言えないこんな世の中はPYONYAN」

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