- なんでも
- 鍋洗うの大変(えのき)
- 24/01/08 18:17:21
自宅に戻ろうと準備していた午後4時過ぎ、木造平屋の住宅がガタガタと音をたて、縦に横にと激しく揺れた。廊下にいた角田さんと両親は飛散したガラスの破片を踏み越え、外に飛び出した。その直後、「ドン、ガッシャーン」と天井が落ち、居間にいた裕美さんと啓徳君が下敷きになった。
「裕美! 啓徳!」。角田さんは、倒壊した家に向かって2人の名前を叫び続けた。啓徳君の名前を叫んだ時、「ダン、ダン」と居間の辺りからがれきをたたく音がした。わずかな隙間からのぞき込むと、落ちてきた梁(はり)につぶされたテーブルの下に、裕美さんと啓徳君が見えた。
のこぎりで梁を切ろうとしたが、全く歯が立たない。近隣の人にチェーンソーを借りて助け出した時には、2人はもう冷たくなっていた。近くの空き地に布団を敷き、静かに横たえた。この間、どのくらいの時間がたったか記憶がない。
先月、家族3人で特急「サンダーバード」に乗り、京都旅行に出かけた。乗り物が大好きな啓徳君が、京都鉄道博物館(京都市)で電車の運転シミュレーションを体験し、無邪気にはしゃいでいた姿が目に焼き付いている。それが最初で最後の県外旅行となった。
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