- なんでも
- ロチ
- 23/02/21 13:47:08
だましの「仮面」を次々と変え、巧妙な罠を仕掛け続ける特殊詐欺。無慈悲な犯罪が奪うのは財産だけではない。
だまされたことを周囲に非難されて自らを責め、命を落とすお年寄りもいる。静岡県内で暮らす松山妙子さん(86)=仮名=は「家業を再建する資金になれば」との思いから、宝くじの当せん金を受け取る「手数料」として2千万円以上を支払い、詐取された。
親族から疎まれ、心を病んだという。死を思いとどまらせてくれたのは、ある住職との出会いだった。住職の元には、自殺を考える特殊詐欺の被害者からの相談が絶えない。(特殊詐欺取材班)
「あの時はただ楽になりたかった。家のどこで首をつろうか、ずっと考えていたの」
静岡県内の住宅街にある小さな一軒家。松山さんは年季の入った居間のかもいを見上げた。一つずつ思い出すようにゆっくりと日記をめくりながら、9年前の出来事を語り始めた。
「海外の宝くじが当たりました!」
2014年の初夏。自宅に突然かかってきた電話で男が告げた。もらえる額は数億円。松山さんはうれしくて涙が出たという。
当時、父の代から続く家業の立て直しに頭を悩ませていた。老朽化する設備の更新には億単位の金が必要だった。思いがけず舞い込んだ吉報。「安心して息子たちに引き継げる」という喜びが勝り、信じ込んでしまった。
男は当せん金を受け取るための「手数料」を求めてきた。家業の経理を担っていた松山さんは、運転資金のほか、友人からの借金を支払いに充てた。現金を広告チラシに包んでレターパックに入れ、東京の指定された場所に送った。10回ほど繰り返し、気付けば約2500万円を送金していた。迎えた振込日。入金はなかった。夢は幻だった。
失ったのは多額の現金だけではなかった。
「迷惑だ」「何てことをしてくれたんだ」。親族からの容赦ない非難が松山さんを襲った。仲の良かったきょうだいからは絶縁され、隣に住む長男夫婦とも交流が途絶えた。
2/21(火) 11:02配信中国新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/753e225231457d6407648cc5122209d5350edcd4
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