寛永通宝
「スパイ気球」が領空侵犯 日本はアメリカのように撃墜できるのか 現状を鑑みると…?
2023.02.12
◆アメリカは最強のステルス戦闘機で撃墜
2023年2月6日(日)、アメリカ空軍のステルス戦闘機であるF-22「ラプター」が、空対空ミサイルにより無人気球を撃墜しました。(略)
さらに、この気球に関する詳細な情報分析を行った結果、気球の下部に取り付けられていた機器には、通信装置やレーダーなどの電波情報を収集したり、位置情報を取得したりするためのアンテナなどが装着されていることも確認されたとしています。そのためアメリカ政府は、中国側の「気象観測用の民間気球」という主張を否定し、これを軍事的な偵察用気球だと考えているわけです。
◆もし日本で同じような事態が発生した場合どう対応する?
今回の気球騒動は、日本でも大きな注目を集めました。特に日本で同様の事態が発生した場合の対応については、国会でも議論されるほど関心度の高い問題となっています。(略)
航空自衛隊における対領空侵犯措置に際しての「一定の手順」は、以下のようなものです。
まず、無線などを通じて領空を侵犯している旨を警告し、領空外への退去もしくは近隣の空港などへの着陸を命じます。さらに、こうした警告や誘導に従わない場合には、場合により機体への命中を避ける形で機関砲を発射する「信号射撃」を行うことになります。(略)
◆現行法では撃墜は困難?
そして、おそらく最も大きな問題となるのは、今回アメリカが実施した「撃墜」という手段を日本もとることができるのかどうかという点です。現在の自衛隊法および自衛隊内の規則によると、領空侵犯機に対して武器を使用できるケースは非常に限定されています。(略)
さて、領空侵犯機に対して武器を使用できるとして、では今回のような気球に対しても同様な措置をとることができるのかというと、現状では難しいと言わざるを得ません。
というのも、今回の気球は非武装であり、自衛隊機に対して実力を持って抵抗することもなければ、地上の人々に危害を加えるおそれもないためです。気球に何らかの不具合が生じ、人口密集地などへの墜落が予想される場合には、緊急避難として撃墜することが許されるかもしれませんが、単に上空を飛行している限りでは、撃墜することはできないと考えられます。
◆今後はどのような対応が望ましい?
とはいえ、日本の領空を侵犯しつつ、悠々と情報収集をしている気球を放置することが望ましいとはとても思えません。実際に自民党や日本政府内でも、今後の気球に対する対応が検討されているとの報道もあります。
前述したように、現状では気球の撃墜は難しいわけですが、今後どのような対応の可能性が考えられるのでしょうか。(略)
ひとつ考えられる方策としては、自衛隊内部の規則を新たに改定し、偵察を目的とした無人気球の撃墜を可能とするようにすることです。そもそも現状、対領空侵犯措置での武器使用が厳しく抑制されているのは、武器使用はすなわち航空機の撃墜につながり、搭乗員の命が失われる可能性があることを踏まえて、軽率に武器を使用することを防ぐためと考えられています。よって、無人の気球であればその点を考慮する必要はありません。
また、対領空侵犯措置に関しては、基本的に国際法上認められる措置をとることとされています。冷戦時代の1960(昭和35)年にアメリカの高高度偵察機U-2をソ連が撃墜した事例など、自国の領空内で偵察飛行を行う軍用機を撃墜することは国際法上、許容されるとの見解も、学説や国家の実行として数多く見られます。
したがって、今回のような偵察を目的とする無人気球を撃墜することができるよう、新たに自衛隊内部の規則を改めることも選択肢のひとつではないかと、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は考えます。
中国をめぐる情勢が厳しくなっている中で、日本としてどのような対応を行うことになるのか、注目が集まります。
【了】
乗り物ニュース
https://trafficnews.jp/post/124297
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No.1 主 寛永通宝
23/02/14 10:01:30
気球「撃墜」高いハードル 日本は自衛権を厳格解釈、危害なければ武器使用は困難
2023/2/11 20:12
≪写真≫撃墜され、落下する中国の偵察用とみられる気球=4日、米サウスカロライナ州沖(Chad Fish提供、AP)
米国本土に飛来した中国の偵察気球と似た飛行物体が日本国内や周辺の公海上で確認されたとして、日本政府は分析を進めている。浜田靖一防衛相は「必要な措置として武器を使用できるというのが政府の考えだ」として、「気球」の撃墜は可能と説明する。ただ、気球が日本国民や自衛隊に直接危害を及ぼすケースは例外として、米国のように撃墜するのはハードルが高いのが実情だ。
磯崎仁彦官房副長官は6日の記者会見で、令和2年6月に仙台市、3年9月に青森県八戸市の上空で確認された飛行物体に関し「米国の事案との関連性も含めて分析を進めている」と述べた。9日には松野博一官房長官が、4年1月に九州西方の公海上空でも気球を確認したと説明した。
自衛隊が気球を撃墜することは簡単ではない。日本政府は憲法9条に基づき、自衛権行使は外国から「組織的、計画的な武力行使」があった場合に限定する厳格な解釈を採用しており、気球が日本の領空を飛んだだけで自動的に自衛権を発動できるわけではない。(続きは有料記事)
産経ニュース
https://www.sankei.com/article/20230211-PZWGCPSW4VKQJDFI5UM4A7J2DY/
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