- なんでも
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無理矢理起きて、自宅に戻った。家事などしなくていい、ただ、自分がいないときの子どもの安全だけ考えてくれればいいと夫は断言、早朝から起きて食事を作ってくれ、昼はお弁当、夜も早く帰って支度をしてくれた。
「子どもがいるところだけきちんと掃除して、あとは夫任せでした。でもそのおかげで1ヶ月ほどでだんだん元気になっていった。夫は『とにかく何も考えるな。ゆっくりしていればいい』って。子どもはほとんど夜泣きもしませんでしたが、それでもたまには泣く。すると夫は飛び起きてあやしてくれる。大変だったと思うけど弱音は吐かなかった。
『妊娠、出産は自分にはできないこと。だからきみに敬意をもっているし、僕にできることはやる』と夫ははっきり言ってくれた」
ふたりで協力しあう体制ができあがっていった。1年後に仕事復帰したときは、夫婦関係も以前より緊密になり、彼女自身も強くなったと自覚した。
「実は私たち、3年くらいグループでよく飲み会をするような関係で、薄い友だちでしかなかった。それがあるとき急に親しくなって交際1ヶ月くらいで結婚しちゃったんですよ。だから周りには『大丈夫?』と心配されていたんですが、ものすごくいい人と結婚したんだと産後、やっとわかりました」
ふたりめのときは、はなから親を頼る気はなかった。
3年前、姉の夫の転勤で、母は以前ほど姉と時間を過ごすことができなくなった。妹はもともと遠方にいる。そうなって初めて、母は『フユミ、たまには一緒にごはんでも食べない?』と甘い声を出すようになった。
「行けば嫌な思いをするのはわかっていますから、行きません。もともと両親は仲が悪くて、母は姉だけが頼りだったんでしょう。姉はそんな母の過保護を笠にきて私を下に見ていた。それもわかっています。今さら、あのころのことを愚痴ってもしかたがないから何も言いませんが、私は夫と子どもだけが私の家族だと思っています。母とは距離を置いたままでいるのが精神衛生上、いいとわかっていますから」
冷たいと親戚や友人に言われることもある。だが他人の意見を聞いていたら、自分心の平安は保てない。第一子の産後、それがいやというほどわかったから、もう同じ轍は踏まない。フユミさんはきっぱりとそう言った。
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23/01/10 18:17:13