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■トレンドアワード:今のキーワードは“参加型”
【トレンドアワード】
「PAKU」asmi
「Cinema feat. Memento Mori & 武蔵」O.A.KLAY
「バニラ」きゃない
「WA DA DA」Kep1er
「エジソン」水曜日のカンパネラ
「Crayon」ZOT on the WAVE & Fuji Taito
「W/X/Y」Tani Yuuki
「Overdose」なとり
「未来図」マルシィ
「ねえ」YOAKE
今年のLINE MUSICを賑わせた楽曲として独自のロジックで選定された「トレンドアワード」の10曲。10代トレンドランキングを制したTani Yuuki「W/X/Y」も入っていますが、ここで注目したいのはasmi「PAKU」、Kep1er「WA DA DA」、水曜日のカンパネラ「エジソン」の3曲。
どちらかというとインディー寄りの存在だったところから一気にメインストリームに躍り出たasmi、K-POP第4世代として大きな話題を呼んだKep1er、新ボーカルの詩羽を迎えての新体制がいきなりヒットに結実した水曜日のカンパネラ。それぞれ出自はまったく異なりますが、キャッチーな言葉遊びや振付などを通してリスナーを巻き込む強さを持っていた点では共通しています。
TikTokというリスナーが参加して楽しめるプラットフォームが音楽シーンと密接に結びついたからこそ、単に鑑賞を促すのではなく“楽曲が中心となってみんなで遊べる状況”をどれだけ作れるかというのがヒットを生み出すうえでより重要になりました。2022年におけるこの最大の成功例がSEKAI NO OWARI「Habit」だったわけですが、ここで挙げた3曲も同じようなムーブメントを起こした楽曲と言うことができると思います。こういった流れはこの先も加速すると思われます(とはいえ“狙って外す”ケースもあるのが難しいところなのですが…)。
ちなみにこのあたりの話題で今年印象的だったのが、こういった“若年層中心にTikTokから流行する楽曲”がスマホの枠を飛び出してテレビの音楽番組などで取り上げられるケースが増えたことでした。ヒットがどこで生まれているかの理解が業界全体で進んだのが2022年だったのかもしれません。
■2022年の音楽シーン総評
2022年、日本の音楽シーンはまた新しい時代に突入しました。ライブやフェス、アイドルの握手会といった興行主体で進んできた2010年代、それらがストップせざるを得ない状況に追い込まれたコロナ禍の2020年と2021年を経て、ストリーミングサービスとTikTokを介してヒット曲や人気者が登場する流れが完全に確立されたのが2022年です。
音楽を届けるプラットフォームやメディアのあり方が改めて固まったことで、今年は様々なアーティストが存分に力を発揮したように思います。その結果は、冒頭に紹介した年間ランキングの多様性に如実に表れています。いっぽうで、そういった急速な環境変化は、シーンの新陳代謝も促しました。トレンドアワードに登場したような新星の登場は、これまで人気のあったアーティストだとしてもこの先が決して安泰とは限らないことを示しているとも言えます。
盛り上がりを見せるボーイズグループのシーン、絶対的な存在への階段を上り続けるOfficial髭男dism、ヒットの条件のひとつとなったTikTokへの最適化など、今年もいろいろな動きがありました。これらの流れがどうなっていくのか、この先も注目していきたいと思います。
TEXT BY レジー(音楽ブロガー/ライター)
THE FIRST TIMES
https://www.thefirsttimes.jp/column/0000222893/- 0
22/12/21 04:22:45