- なんでも
- イラク・ディナール
- 22/11/26 14:23:02
・風俗に向いていないと気付く
銀杏が香る10月、私はいつものように風俗サイトを見ていると、見知ったパネル写真、しかし懐かしいその顔と出会います。それはクリスマスイブに出会った彼女でした。
彼女は今年の3月に風俗を辞め、いわゆる一般的な仕事に就くと聞いていたのですが、なぜか出勤リストには彼女の名前がありました。私は自分がとてつもなく気持ちの悪い行為をしているとわかってはいましたが、それでも気が付いたら電話で予約を済ましていたのです。
久しぶりに会うと、ひとこと、大人になったねと言われました。私にはその意味が解りませんでした。それから彼女の話を、今度も二人掛けソファ―に隣り合って聞きました。彼女は職に就いたものの精神的な持病がひどくなり、休職していたとのことでした。こんなとき、本当にどんな言葉を掛ければいいのか、私にはわりかません。90分のコースで入ったのですが、一切身体に触れることもなく、ただ話を聞いて終わりました。
また次の週、彼女と会いました。今度は少し元気な様子で、120分コースだったのですが、尽きることもなく談笑できたように思えます。風俗なのだから、嘘かもしれませんが、それでも幸せに思えました。またエッチすることなく帰ったのですが、その去り際に「元気をもらえたよ」と、言ってもらえたのが嬉しくて、1人でラーメンを食べながら泣きました。
その次の週も会いました。今度は一番最初に会った時よりも元気で、120分も5分に感じられました。彼女が元気になっていくのは幸せで、でもそれと同時に、彼女が離れていくようでした。僕はその時やっと、彼女のことが好きだと思えたのです。振り返れば出会ったときから、彼女に恋をしていたのでしょう。それに気が付かないように風俗に行き、それをかき消すように風俗へ逃げていたのです。
しかし好きだと気が付いたのと同時に、私には、彼女が私のことを好きじゃないことも知らしめられました。ずっと彼女は、私のことを見ていなかったように思えます。いつまでもだらだら続けても埒が明かないし、そろそろお金もないし、これを最後にしようと私は決めました。風俗に通うのは最後にすると彼女に伝えると、それがいいよと返ってきました。続けて、ずっと好きでしたと伝えると、しばらくの沈黙が続いた後に、出会い方が違ったら良かったのにねと返ってきました。私は大人じゃなかったけど、彼女は大人でした。
ラブホテルのエントランスでさよならを言い、角を曲がり、ガラス張りの壁に映る自分の顔を見ると、目が赤く腫れていて、情けなかったです。
・後悔
風俗で100万円を溶かしたことは後悔していません。
しかし一つだけ、悔やんでも悔やみきれないことがあります。
私が好きだった彼女、そのGカップの胸を、一度も揉むことができませんでした。
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