• No.2 ゴールド

    22/11/25 17:40:59

    ■期日を過ぎても撤去されず

     コリア協議会は、慰安婦が戦争犯罪の被害者でありホロコーストの犠牲者と同じだといううそにとどまらず、ベルリンの少女像を永久存置すべきだとも主張している。これは韓国の正義連とマスコミも同様の立場だ。

     だがミッテ区の少女像は、都市空間芸術委員会の審議を経て1年単位で契約を結ぶ展示造形物である。契約期間が過ぎれば直ちに撤去すべきものだ。

     設置直後に碑文の内容が問題になって撤去命令が出されても、コリア協議会は行政訴訟、署名運動、請願書、デモなどあらゆる手段を駆使してこれを阻止しようとした。そればかりかミッテ区議会の左派政党の支援まで要請したのだ。

     左派が多数のミッテ区議会は、少女像の存置を圧倒的な票差で議決し、撤去命令を無力化した。とはいえ議会の決定は永久存置を意味するのではなく、当初の契約通り1年間だけ展示できるというものだ。2021年9月にミッテ区は、コリア協議会の申請を受け入れ、1年延長したものの、今年9月28日までと釘を刺している。つまり最初の契約から一度だけ更新し、2年間展示できるようになったわけだ。もっとも期日を過ぎても撤去されていない。

    ■問題の本質は「貧困」

     このようにコリア協議会はこの契約内容も無視し、あらゆる手段を使って永久存置させようと、ゴリ押しの活動を展開している。ウィーン条約違反の日本大使館前の少女像設置や「集会・示威に関する法律」(集示法)に反する30年間の水曜デモとなんら変わらないやり口だ。韓国には「水が漏れるヒョウタン(器)は外で使っても水が漏れる」(訳注:自分の家でさえ問題のある者は外でも問題を起こすという意味)ということわざがあるが、その通りになってしまった。

     慰安婦問題の本質は貧困である。かつて国が貧しく、親も貧しかったため、家族のために自ら犠牲になったり、親がわずかばかりの金を受け取って自分の子を歓楽街に送り込んだりした。彼女たちが慰安婦になった経緯は多様だが、それはほとんどが貧困のために起きた、恥ずかしくも悲しい私たちの自画像である。

     不幸な歴史も歴史なのであり、記憶し反省しなければならないのは当然だが、必ず歴史的事実を前提にしなければならない。しかし、これまで正義連が主導した慰安婦運動は、慰安婦の歴史を丸ごと歪曲・捏造してきた。慰安婦少女像はこうして捏造された情報を基に製作された偽りと憎悪の象徴なのである。

    うそを基にした表現まで尊重するべきなのか
     少女像は現在、韓国国内に150体、海外に34体も設置されている。その上、日本では「表現の不自由展」という名の企画展にまで登場し、多くの人々に慰安婦に対する歪曲された認識を植え付けている。この展示は既に京都、名古屋、神戸に巡回し、さらにさまざまな都市に場を移しながら続くというので心配でならない。

     表現の自由が尊重されねばならないのは当然だ。だがうそを基にした表現まで尊重する理由はない。

     ミッテ区に設置された少女像や「表現の不自由展」で展示された少女像には「平和」という言葉が掲げられているが、平和とは程遠い偽りと憎悪の象徴物でしかない。真の平和は真実と向き合う時に得られることを肝に銘じるべきなのである。


    [写真]ドイツ・ベルリン市ミッテ区の少女像。隣に座っているのが筆者


    ◇金 柄憲(キムビョンホン)
    国史教科書研究所所長。1958年、大韓民国慶尚北道生まれ。 成均館大学漢文学科卒業。 同大学院修士・博士課程修了。 東国大学大学院史学科博士課程修了。 成均館大学、キョンウォン大学、中央大学講師、独立記念館専門委員。 慰安婦法廃止国民行動代表も務めている。

    週刊新潮 2022年11月3日号掲載
    https://www.dailyshincho.jp/article/2022/11081059/?all=1

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