タイム(勇気ある行動)
ペット“飼育放棄”急増 物価高騰で生活厳しく…欧州で“深刻化”
[2022/11/16 14:47]
物価の高騰が深刻なイギリスでは、ペットの飼育を断念する人が増えているといいう。大切な“家族”でさえも手放さなくてはならない現状を取材した。
■生活厳しく…“ペット手放す”
イギリス・ロンドン南部にある犬猫専門の保護救助センター。現在、99匹の犬と97匹の猫が保護されている。
この施設は最大で150匹の犬を収容できるが、9月の1カ月間だけで引き取ってほしいという問い合わせが700件を超えた。
バタシー・ドッグ&キャット・ホーム 保護犬担当マネージャー レベッカ・ロダーさん:「ペットを飼えると思っていたのに、急激に状況が変わってしまい、残念ながら飼えなくなった人もいます」
背景にあるのは、イギリスを襲っている物価高だ。
インフレ率は10%を超えていて、ある調査によると、イギリスの4人に1人がせっけんやトイレットペーパーなしでの生活を余儀なくされているという。
一方で、犬や猫の飼育にかかる月々の費用はおよそ3万円。日用品が買えないなか、大切な“家族”との別れを選ばざるを得ない飼い主が急増しているという。
■コロナ不安で“ペットブーム”
そもそもイギリスでは、ここ数年ペットブームが起きていた。
新型コロナよる長期的なロックダウンに不安を感じた人々が、動物に癒やしを求めたからだ。
イギリス動物虐待防止協会によると、国内の供給では追い付かず、海外から子犬や子猫が輸入されるほどの加熱ぶりだったという。
レベッカ・ロダーさん:「医療費を払えなくなったと言う人もいれば、エサ代が払えない人、生活費を下げるため、ペット不可の物件に引っ越す人もいます。ペットの面倒を見られなくなった人は、私たちのような施設に行くことが、最低限の責任ある行動です」
■フランスでは…“改正案を可決”
イギリスだけでなく、フランスでもペットの飼育放棄が問題となっている。
フランス政府の発表によると、フランスの家庭で飼われているペットの数は2000万匹以上で、半数の家庭がペットを飼っている。
その一方で、ある動物愛護団体が去年引き取ったペットの数は、2020年から2割増え、過去最多を記録したという。
動物保護団体によると、ペットを手放す理由は「経済的な問題」の他にも、「引っ越し」や「離婚などによる別居」。さらに、長期休暇で旅行に行くなどの理由が挙げられる。
地元メディアは、「衝動的な購入が飼育放棄の増加につながっている」と懸念を示している。
こうした状況にフランスの上院議会は、動物の扱いに関する法律の改正案を可決。この法改正によって、2024年からペットショップでの犬や猫の展示や販売が禁止される。
また、一般の人がインターネットで犬や猫を売買することも禁止となる。
ペットを飼いたい場合は、ブリーダーから直接購入するか、保護施設からの引き取り。あるいは、正規のペットショップからインターネットを通じて購入するかに限られる。
テレビ朝日
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000275971.html
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