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造花(偽物)
2001年10月、青塚慎一さんは家族4人で茨城県神栖市木崎の一戸建て借家に引っ越してきた。
転居直後から全員の体に原因不明の変調が現れ始めた。手の震えやめまい、ふらつきなどの神経症状が止まらない。特にひどかったのはまだ乳児だった長男の琉時さん。母の美幸さんによると、頻繁にけいれんに襲われ、医師から「一生歩けないかもしれない」と通告された。21歳になった今も、精神の発達の遅れなど重い障害が残る。
国は最終的に、旧日本軍の毒ガス兵器の原料が原因と判断。半世紀以上も前につくられたものが、21世紀になって若者の未来への自立を奪った。しかも毒ガス兵器の爪痕はこの地域だけにとどまらなかった。
琉時さんは医師の言葉どおり、1歳になっても歩行できなかった。1歳8カ月の時に入院した際、つかまり立ちができるようになって両親を驚かせた。
琉時さんの姉、梨奈さんも含めた家族3人も、さまざまな神経症状が出たが、どの医療関係者も原因を究明できなかった。周辺でも同様の神経症状を訴える住民が相次ぎ、動揺が広がった。
2003年3月、青塚さん一家に「井戸から毒が出た」との連絡が入った。行政の水質調査で、家族が飲み水として使っている井戸水から水質環境基準の450倍のヒ素が検出されたのだ。筑波大病院の医師が、診察した住民を通じて保健所に井戸水の調査を依頼したことが原因究明のきっかけだった。
琉時さんは井戸水で溶いたミルクを飲んでいた。入院した際につかまり立ちができたのは、井戸水を飲まなくなったからだろう、と美幸さんは話す。
解析の結果、「毒」は有機ヒ素化合物で、自然界には存在しないジフェニルアルシン酸と判明。さらにその後の調査で、ジフェニルアルシン酸は、青塚さん宅から約90メートル離れた空き地の地中に、コンクリートで固めて埋められていたことが分かった。このコンクリートからは1993年製造と刻印された飲料の空き缶も見つかっている。つまり、埋められたのは少なくともこの年より後ということになる。ジフェニルアルシン酸が時間をかけて地中に漏れ出し、地下水を伝って井戸水に混入した可能性が高い。
https://news.yahoo.co.jp/articles/98aca349f016552169c77efd7dc0517a233887f7
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