• No.2 ローダンセ(ロマンチックな愛)

    22/10/10 13:16:58

     票や選挙支援欲しさにイベントへの出席や祝電を繰り返す――。一連の騒動で明らかになったのは、そんな“選良”の姿だが、以下もその一端といえる。無謀なトンネル構想にも、大物政治家たちが群がっていた。

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     ***

     統一教会を巡る報道で近頃よく目にするのが「日韓トンネル」事業である。

     この構想、ごくごく簡単に記せば、九州は佐賀県・唐津と韓国・釜山の間を、海底トンネルで結び、日韓交流を活発化させる、というもの。

     統一教会の文鮮明開祖が1981年に提唱し、翌年には「国際ハイウェイ建設事業団」(現・財団)を設立。以来40年、同団は唐津市で試掘を、中継点に当たる長崎の壱岐島や対馬でも工事や調査を行うなど、プロジェクトを進めてきた。

     しかし、トンネルの距離は実に200キロで、青函トンネルや、英仏をつなぐドーバー海峡・ユーロトンネルの4倍にも及ぶ。



    「荒唐無稽で、実現は不可能と言っていいでしょう」

     と言うのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会・東京事務局長の、渡辺博・弁護士。

    「唐津の現場でも、自分たちで買った土地をその範囲で掘っているだけですし、壱岐でも少し穴が掘られているというレベルで、とても実現に向かっているとはいえません」

     それでも、なぜ教会はプロジェクトを大々的に宣伝し続けているのか。

     渡辺弁護士が続ける。

    「壮大な事業を推進していると示すことで、信者を鼓舞するため。もう一つは、巨大プロジェクトのアドバルーンを上げることが、献金を募る道具として役立つからです」

     過去には、1ミリ掘るために5万円が必要として、「1ミリ5万円献金」という運動を展開、中にはトンネル建設などのために3.7億円も寄付した信者がいて、裁判沙汰になったこともあった。

    山拓も古賀も
     そして例のごとく、このプロジェクトの周りでも政治家がうごめいている。

     例えば、83年には、後の統一教会会長・梶栗玄太郎を理事長として、「日韓トンネル研究会」が設立されているが、現在の会長は、元法務大臣・野沢太三氏。ご本人に関与の経緯を聞くと、「耳が遠いので……」と述べるのみだった。

     また、研究会の初代会長が監修した『日韓トンネルプロジェクト』なる書籍によれば、92年時点での研究会本部・九州支部の役員には、山崎拓、古賀誠など派閥の領袖や、太田誠一、久間章生、自見庄三郎ら閣僚経験者の各氏がずらりと名を連ね、その中には顧問として麻生太郎・元総理の名も見えるのだ。



    「間接的に献金に力を貸している」
     統一教会に詳しい、さるジャーナリストによれば、

    「麻生さんは政調会長時代の2003年、党の『夢実現21世紀会議』の議長を務めていましたが、その際、『日韓トンネル』について実現に向けた政策提言を発表した過去がある」

     というから、やはり事業への思い入れが強いのは間違いなさそうなのである。

     当の麻生事務所に本件について質問したが、回答はなし。

     前出・渡辺弁護士が言う。

    「この事業を名目に、信者に対して過酷な献金が強要されていたわけですから、加担するのは、あまりに無責任。事業にお墨付きを与え、間接的に献金に力を貸してしまっているともいえます」

     一連の報道では、教会系新聞「ワシントン・タイムズ」に全面意見広告を出していたことも発覚した麻生元総理。

     この方が副総裁なのだから、党とカルトとの「関係の見直し」など、簡単にできるわけがないのである。

    「週刊新潮」2022年9月8日号 掲載

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