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- ニャッツ・アイ
- 22/03/28 16:00:30
「あの時のような大地震が起きたら、近所の高齢者を見回ろう」。宮城、福島両県で最大震度6強を観測した地震の夜、「約束」を果たした2人の高校生がいた。
高齢化の進む仙台市宮城野区の住宅地。強い揺れが収まって間もない17日午前0時すぎ、住宅のチャイムが鳴った。
「行くぞ」。高校1年富田隼平(じゅんぺい)さん(16)が呼び掛け、幼なじみの同1年勅使河原大毅さん(16)が「(約束を)覚えてるよ。行くか」と応じた。地域の高齢者宅の見回りが始まった。
道路で遊んでいて怒られたおじいさん、訳もなく手芸品をくれたおじいさん、いつも横断歩道で見守ってくれたおじいさん…。2人は高齢者がたくさん住んでいることを知っていた。
「あのおじいさん、ピンポン押したら怒るかもな」
「でも何かあった場合の方が嫌だよな」
20軒近くを約1時間かけて回った。ドア越しに懐中電灯で2人を照らし、けげんそうに見た人や、「私より高齢な人はもっといる」と毒づく人もいた。だが、大半は「ありがとう」とほほ笑んでくれた。
2人とも学校の成績はいい方ではない。小学生の頃、担任の先生からよく「特別指導」を受けた。高齢者を「じじい」や「ばばあ」と呼ぶこともある。
「立派なことをしようと思ったわけではなく、当たり前のことをしただけ。取材されるのも恥ずかしい」と照れる富田さん。東日本大震災で大けがをし、後遺症を引きずったまま今年1月に亡くなった石巻市の祖母のことが思い浮かんだ。
「高齢者がけがをして、誰も助けに来なかったら悲しい」と勅使河原さん。いつしか2人で「震度6以上の地震があったら地域を見回ろう」と約束していた。
2人は見回りを終え、コンビニで缶入りのコーンポタージュを買った。未明のコンビニ前にたむろし、缶を開けて乾杯する高校生。周囲から怪しまれても2人の心は晴れ晴れとして、冷えた体がすぐに温まった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5825c4c063fc7ab51a3292c25d1d5b87fc21a95
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