- なんでも
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- 22/02/10 21:41:54
北京冬季オリンピック第7日は10日、北京市の首都体育館でフィギュアスケート男子フリーがあり、ショートプログラム(SP)2位の鍵山優真(18)=オリエンタルバイオ・星槎=が銀メダルに輝いた。鍵山はソチで19歳で優勝した羽生結弦(ANA)を抜き、個人種目で日本フィギュア最年少メダリストとなった。
161センチの小柄な体で持てる力を出し切ると、鍵山は思わずリンクの上にうつぶした。日本のフィギュア史を塗り替えたホープは、何度も両拳を握り、男子シングルで五輪を2度経験したコーチの父正和さん(50)と手を取り合った。笑顔の花が、銀盤に咲いた。
シニアデビューを果たした昨季、初出場の世界選手権で銀メダルを獲得。破竹の勢いで五輪の舞台へ駆け上がった。鍵山を支えたのは「先駆者」として日本だけでなく世界のフィギュア界を引っ張ってきた「絶対王者」の存在だった。
忘れられない光景がある。2020年12月の全日本選手権直後、翌春の世界選手権代表を発表する記者会見の場だった。大会に向け「すごく怖いというか不安な気持ちがたくさん」と初々しく壇上の後列で語っていると、前列にいた羽生が振り向いて声をかけた。「言っちゃえよ」と。
羽生は、その意図をこう説明した。「自分の気持ちにうそをつこうとしてたんで、『そういうことはいらないよ』って。彼の強さは、その負けん気の強さだったり、向上心だったり、勢い。そこは大事に」
思わぬ一言で鍵山は吹っ切れた。「負けず嫌いなんですよね、僕」。素の自分をさらけ出すようになり、弱気なコメントを発しなくなった。
その後は常に上を見続けた。18年平昌五輪銀メダリストで、鍵山の憧れの存在でもある宇野昌磨(トヨタ自動車)と一緒に練習するようになり、刺激を受けながら滑りを磨いてきた。
「頑張ってきた数年の全てが詰まっている」と評した銀メダル。「もっともっと、オールラウンダーに近づいていけるように。ネーサン(チェン)選手、羽生選手、宇野選手みたいに、いろんな部分が評価されるような選手になりたい」
先に滑った羽生、宇野と偉大な先輩たちの奮闘も心に刻み、リンクに立った。新たな時代の到来を告げるかのような、勢いのある舞だった
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