- なんでも
- テール
- 21/10/13 17:14:55
なぜスウェーデンでは専業主婦=失業者なのか
https://president.jp/articles/-/30799
専業主婦イコール失業者という肩書き
最初にそのことを思い知らされたのは、保育園に申し込むための用紙だった。両親の職業を書く欄があった。書き方の詳細がよくわからず、わたしは市役所に電話して教えてもらった。担当者は不慣れなわたしに親切に教えてくれた。
「お子さんのパパのほうは“株式会社○○の正社員”と書けばいいですよ。そしてあなたは失業者だから……」
“専業主婦”と書くという選択肢はなかった。世間から見れば、わたしは失業者以外の何者でもないのだ。社会のお荷物ということか。やるせなさが胸にあふれた。
それとときを同じくして、夫の職場に寄ったときのことだ。男ばかりの夫のオフィスには、紅一点の総務担当の女性がいた。
彼女がわたしの顔を見るなり、「どう? 仕事見つかった?」と訊いたのだ。「……見つかってません」と答えなければいけなかったときの屈辱感。またしても自分が失業者であることを実感させられた。しかし、二歳にもならない子供を抱えて異国に越してきてまだ二週間の女性に、「仕事見つかった?」って訊くのって、あまりに酷なのではとも思う。いや、そう思うのは日本人だからか。この国ではどんなに小さい子供がいようとも、女性も働いていて当然なのだから。
またある日、税務関係の登録用紙の書き方がよくわからなかったので、税務署に出向いて教えてもらった。そのとき、税務署の人にとても驚かれた。
「今無職ということですが、失業手当ももらってないんですよね? どうやって生活しているの?」
「いや、夫が働いていて、わたしは家に二歳児もいますし……」
日本だとそれはごく普通の回答だと思う。でもこちらの税務署のお姉さんは、それではまったく納得がいかないようだった。夫が働いている、という答えにはなんの説得力もないみたいだ。やはりこちらでは男女関係なく経済的に自立しているのが当たり前なのだなとつくづく思わされた。
仕方なく「日本で働いていたころの貯金を切り崩してもいます」と説明すると、やっと納得してもらうことができた。そして、こう言われた。
「じゃあこの申請用紙の余白にそう書いておいてください。じゃないとみんなが『この人、どうやって生きてるんだろう』って不思議に思うから」
さっさと仕事を軌道に乗せて一人前に稼がないと、この社会では理解不能な存在になってしまうということか――。無事に登録はすんだものの、そんなプレッシャーがのしかかってきた。
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