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- 21/08/07 12:59:11
新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れている東京都内の病院では、軽症が多いとされていた20~30代で、酸素投与が必要となる中等症の入院患者が増えているという。中等症患者の2~3割は重症化するといい、重症用ベッドの逼迫(ひっぱく)を加速させかねない。国は病床逼迫を受け、重症者や重症化リスクの高い人を重点的に入院させる方針に改めたが、都内の病院では危機感が広がっている。
「病床が空いてはすぐに次の患者が入り、満床状態が続いている。第3波と同じか、それよりひどい状態になっている」。中等症患者を受け入れている東京曳舟病院(東京都墨田区)の三浦邦久副院長は疲労感をにじませた。
同病院では、東京都の緊急事態宣言が始まった7月12日から1週間足らずで中等症用の病床13床が満床になった。ワクチン接種の進んだ高齢者の入院が減った一方、20~30代で基礎疾患がなくても肺炎を起こして酸素投与が必要になり搬送される中等症患者が増加。7月末からは自宅療養していた人の容体が急変して搬送されてくるケースも出ている。三浦副院長は「これまでと違い、症状が重く出るようになった。20~30代の入院が増えており、重症化リスクが高い人が特に多いわけでもない。『若年層は無症状』という印象が変わってきている」と話す。
若年層の中等症患者が増えていることを示唆するデータがある。最近まで、中等症以上や重症化リスクが高い場合は原則入院措置が取られてきたが、都内の入院患者は6月下旬から1カ月で倍増し、都によると8月3日時点で3351人と第3波のピーク(3427人)だった1月に迫る勢いだ。30代以下は、7月28日時点で入院患者の36%を占め、約1カ月前より10ポイントも増加。一方、40代以上と比べても重症者はまだ少ない。内閣官房の資料によると、都内の確保が見込まれる全入院患者用の病床使用率は8月2日時点で50%、重症患者は70%で、いずれもステージ4(感染爆発)の水準となっている。
三浦副院長は「トリアージ(選別)を厳しくしなければ、重症化した患者を搬送するのも難しくなってきている」と訴える。7月下旬以降は、休日に搬送先を確保できず、平日を待たないと搬送できなくなってきているという。
中等症・重症用ベッドを56床備える日本大板橋病院(東京都板橋区)でも、若年・中年層の中等症患者が増加しており、切迫した状況が続いている。8月2日時点での中等症病床は34人、重症者用は既に満床の状態だ。重症者にカウントされないものの、鼻から酸素を送り込む「ネーザルハイフロー」という呼吸療法を使う患者も増えている。
高橋悟院長は「院内では重症に近い中等症患者が増えている。中等症の2~3割は重症化するため、これ以上外部から重症患者を受け入れるのは難しい。今が感染のピークだと信じたいが、中等症患者は遅れて増えてくるので、お盆のあたりまで医療体制は厳しいだろう」と指摘。国の入院方針の変更に対しては、「当院に入院中の中等症患者は、人工呼吸器が必要になる可能性の高い人が大半。刻々と変化する容体を観察する必要があるため、現時点ではこれまでと同じ扱いにしたい」と話していて、病床逼迫の解消は見通せない。【中川友希、林奈緒美】
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e699adce3aa08739cd438098ad00f1c185a9d1b
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