- なんでも
- ギアラ
- 21/08/02 15:02:27
亡くなった倉掛冬生ちゃん(5)の母親(37)が7月30日、西日本新聞の取材に応じ「冬生がいないなんて信じられない。今すぐ息子を返して」と涙ながらに訴えた。30日は家族で水族館に行く予定で、事故当日の29日には母親が「明日はおめかしさせよう」と新しい服を買って冬生ちゃんの帰りを待っていたという。
29日午前8時すぎ、自宅前に園の送迎バスが迎えに来た。「おはようございます」。冬生ちゃんは運転する女性園長に元気よくあいさつし、バスに乗り込んだ。「あの時(園を)休ませておけばよかった。自分で連れていけばよかった」。母親は自身を責める言葉を繰り返した。
夕刻、母親はいつも通り自宅前で帰りを待った。バスが着くと、園職員の言葉に耳を疑った。「今日は冬生くん、いませんよ」
母親は、すがる思いで徒歩15分ほどの保育園まで走った。園には消防隊員らが駆け付け騒然としていた。園長から「ごめんね。(冬生ちゃんが)寝てるから気づかなかった」と声を掛けられ頭が真っ白になった。
「冬生が死んだの?」。自宅にいた兄(11)は、おえつを漏らす母親に抱き付いて泣きじゃくった。
深夜、家族は折尾署に呼ばれた。母親は霊安室で変わり果てた冬生ちゃんを抱き、泣き叫んだ。「助けてあげられなくてごめんね。一緒にいてあげられなくてごめんね」
人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」が好きだった冬生ちゃん。祖母(59)に「もうすぐ小学生だよ」とうれしそうに話したり、夢中でアニメの説明をしたりする明るい子だった。兄や母親と近くの公園でよく遊んだという。
「あんまりだよ。ひどいよ」「冬生、置いていかないで」。母親は、冬生ちゃんの兄を抱き締め、夜通し泣いた。
冬生ちゃんを乗せたバスは日中、保育園向かいの道路を挟んだ駐車場に止められていた。祖母は「冬生は利口な子だった。小さい手で、バスの窓を一生懸命たたいて、助けを求めていたはず」と声を絞り出した。 (白波宏野、古瀬哲裕)
- 15 いいね