• No.1 ササバラ

    21/05/12 11:46:13

    ■どうすれば命を落とさずに済むか

     とにかく、ため池には近づかないこと。これにつきます。ため池は構造上、人が入ることを想定していません。一度滑って落ちれば、這い上がることができない構造になっていると考えてください。

     救命胴衣を着用していれば、水に沈むことはありません。呼吸は確保できます。でも、6月ー9月の時期を除けば水温が低くなり、発見されるまで浸かっていると、そのうち低体温となり、命を失います。

     救助用のロープがあれば、どうか。ため池の中にいて意識がある人を発見したら、すぐに119番通報をしてください。救助隊の到着が遅れるようであれば、動画4のようにしてロープにつかまってもらい、陸に上げることができます。ただし、素手では絶対に引き上げようとしないこと。同じように池の中に引きずりこまれます。

    【動画4】ロープ1本で救助できるか(水難学会提供)



    ■ため池の安全対策

     多くのため池でフェンスなどで囲んで人が侵入しづらくしています。でも、これは単なる気休め、そのうちあちこちが自然に壊れたり、人為的に壊されたりして、人が侵入してきます。「侵入する人が悪い」という気持ちもよくわかりますが、実はため池の管理者も落ちて命を失っています。

     そのため、生きて戻ることができればいいという考え方で、水難学会では樹脂ネットを利用した自己救命策を考案し、宮城県内を中心に普及を始めています。動画5をご覧ください。被験者の男性がため池に落ちて、背浮きで岸に近づきました。岸に到達したら、ひっくり返り、ネットを手でつかみました。そして、手でネットをつかみながら、足をネットにかけ、手足で斜面を登っていきます。

     樹脂ネットは何でもよいわけではなく、ため池の自己救命用に適切なネット素材、固定方法がありますので、詳細につきましては、水難学会にお問い合わせいただければと思います。

    【動画5】自己救命ネットを活用した這い上がり(水難学会提供)


    ■さいごに

     父子や兄弟で亡くなる水難事故が絶えないため池。危険ですから釣りを含めて不用意に近づいてほしくないと思います。さらに、管理されている皆様にもできるだけコストをかけずに、しかも命を守る効果のある方法について、一度考えていただければと思います。

    https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20210510-00237132/

    ◇斎藤秀俊
    一社法人水難学会会長、国大法人長岡技術科学大学大学院教授
    人類誕生以来600万年にも及び、祖先は水難という不幸と闘ってきました。そのような経験が我々の遺伝子の中に「水難は神の領域」として埋め込まれてきたかもしれません。しかし今や人類の叡智を総合し、水難学は、工学、医学、教育学、宗教学、語学、気象学などの学際領域に育ちました。狙いを定めた結果、水難からの生還例が着実に増えてます。記事やコメントでは風呂から海まで水にまつわる事故・事件、津波災害や大雨災害あるいは船舶事故に関する話題を提供していきます。

コメント

古トピの為、これ以上コメントできません

広告

返信コメント

  • まだコメントがありません

投稿するまえにもう一度確認

ママスタコミュニティはみんなで利用する共有の掲示板型コミュニティです。みんなが気持ちよく利用できる場にするためにご利用前には利用ルール・禁止事項をご確認いただき、投稿時には以下内容をもう一度ご確認ください。

上記すべてをご確認いただいた上で投稿してください。