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- 風魔小太郎(強い)
- 21/05/09 09:28:39
「ここにヒヨコがいっぱいいるよ!」
そう言って、たくさんのヒヨコが入れられた大きな箱に子どもを呼び寄せる母親。箱の内側には「やさしくさわってね」の張り紙があるだけで、触り方の説明はなく教えてくれる大人もいない。
ポニーの乗馬体験では、炎天下の屋外で1頭のポニーに休みなしで次々に子どもを乗馬させている。ヤギや豚、リクガメは、ふれあい動物園の開催時間中、常に暑い屋外に展示され、制限のない餌やりで柵に投げ込まれたキャベツやニンジンには目もくれず、狭い柵の隅で動かずにいた。
「幼少期の情操教育の一環として…」、「小動物と触れ合う機会を通して、子どもたちに思いやりの心を育む…」、移動動物園やふれあい動物園の開催目的は、たいていこのような内容です。ですが、果たしてそこに動物の福祉はあるでしょうか。動物は、暑さ寒さで不快でも、痛みや恐怖を感じても、それを伝えることもそこから逃げ出すこともできません。
移動動物園でよく使用されるヒヨコやうさぎを例にしても、それぞれ理想的な飼育温度は違いますし、夏場の屋外では熱中症の危険もあります。反対に、熱帯地域が生息地の動物にとって日本の秋冬は非常に過酷です。そもそも生息地も生態も異なる多種の動物を、同じ「ふれあい」の環境下に置くこと自体、適正気温や湿度等、環境の実現が出来ないことから、多くの動物に負担がかかります。
また小動物は、性質も臆病で敏感です。不特定多数の人間にむやみに触られることで大きなストレスがかかります。子ども一人にモルモットやヒヨコを時間で割り当てる「ふれあいタイム」では、ヒヨコを片手でわしづかみしたり、動物が入っているカゴを地面に落としてしまうお子さんもいました。
私たち大人は、動物が大好きで心優しい子どもたちに、時にアプローチの仕方を間違えてしまいます。動物を慈しみ心豊かになるということは、単に動物に触るだけではなく、その動物の気持ちを想像すること。目の前にいる動物が健康そうで楽しそうに過ごしているか、今暑くないか寒くないか、震えている姿や仲間とくっついて動かないのは何を意味しているのか?そうした動物の立場になって、気持ちをおもんぱかることが真の「ふれあい」です。見ず知らずの人に一方的に触れられることは、私たち人間にとっても恐怖です。私たちとは異種である動物だからこそ、その配慮が必要です。動物たちの気持ちを考えずに一方的な興味だけで触れ合うことは、動物を好きに扱ってよいということを学ばせてしまうことにつながります。続く >>1
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1312647
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