- ニュース全般
- 島津義弘
- 21/04/09 01:02:37
今年に入ってから、日本で突如として話題になったアメリカ発の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。参加するためには他のユーザーからの招待が必要で、ユーザーは発信者になることも、他の人の話を聞くリスナーにもなることできる。芸能人や著名経営者たちがこぞって飛びついたことでも注目された。
昨年3月にサービスを開始し、今年1月中旬時点で世界で200万人のアクティブユーザーを突破したClubhouseは、日本でもこのまま定着に向けて突き進むかのように思われたが、ここ1か月ほどで環境は激変している。ネット上では「オワコン」「過疎」「飽きた」といったネガティブな声も目立つようになってきた。人気急落の背景に何があるのか。早々にClubhouseから撤退したユーザーたちの声から探った。
IT企業で働く20代の男性会社員・Aさんは、まず、「リアルタイムで聞く」という行為が「正直しんどい」と吐露する。
「有名経営者や芸能人の話を聞けるのは、確かに貴重だと思います。でも、わざわざ“生放送”で追いかけるのは辛い。巻き戻すことも早送りすることもできない、アーカイブも残らない。自分のタイミングで聞けないのがデメリットです。YouTubeやTwitterで情報収集した方が、ピンポイントで知りたい情報にたどり着けます。わざわざ長い話をずっと聞いているのは、時間のコスパが悪いとしか言えません」(Aさん)
Aさんが2点目に挙げたのは、自分が発信者側になる場合でも、わざわざClubhouseで話す必然性が薄いと感じたためだ。当初Aさんは、リアルの友人たちを中心に、職場の愚痴や共通の趣味であるゲームなどを雑談する形で度々利用していたが、「知り合いで集まるなら、LINEのグループ通話で十分」と、結局集まらなくなったという。
人材紹介会社で働く30代の男性会社員・Bさんは、Clubhouseの招待を受けたことを嬉しそうに自慢してきた同僚を見た時、「mixiのトラウマ」を思い出したと振り返る。
「mixiがまだ招待制だった頃、なかなか招待されないと肩身が狭く、『友達がいない人』などと思われたのがトラウマです。僕はiPhoneなので、Clubhouseは招待されれば利用できる。招待されていなかった頃に『Clubhouseやってる?』と聞かれた時、まだリリースされていないAndroidの人たちが平和に思えて、羨ましかったです」
後日、Bさんは幼なじみから招待を受けてClubhouseへ参加。だが、「職場で大人しい40代の先輩社員が、Clubhouseで偉そうに就職アドバイスをしていた」ことで辟易としたという。
「見渡せば、“意識の高い”テーマや勉強会、きな臭いセミナーにあふれていました。そのなかで先輩は、学生や同じ年代の人に、かなり強く当たっていました。まるでストレスを発散するかのようなダメ出し。声だけだし、“残らない”という安心感も手伝って、強めな口調になるのかなと。Clubhouseは人の本性をあぶりだすものだと感じました」(Bさん)
アパレル業界で働く20代の女性会社員・Cさんは、「Clubhouseは居心地が悪い」と語る。
「ラジオのようなもの、と言われていましたが、構成がしっかりあって、プロが話すラジオとは全然違います。文字通り雑談で、顔が見えない人たちの雑談って、こんなに聞きづらいんだと思いました。
あと、私は配信アプリでいろんな人の配信を見るのですが、配信に比べて、Clubhouseは上の世代が多いイメージ。『○○の未来を語る』とか、『○○するために○○を学ぶ』といったテーマで、覗いてみれば自分語りやおじさん同士の褒めあい、あるいは説教部屋みたいなものだらけ……。居心地が悪すぎて、早々に退散しました(笑)。
You Tubeのように編集技術もいらないし、配信のように顔出しもしなくていい。そういう意味では、おじさん世代が手軽に、無責任に自己表現できる場所なのかな、と思います」(Cさん)
「Clubhouse離れ」はこのまま進んでいくのか、はたまた人気が再燃する日が来るのか──。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ecae0163abace522ff4628395a9ad5c540b4f462
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