• No.1 小早川隆景

    21/03/09 23:33:18

    改正動物愛護法では、ペットショップ(生体小売業者)や繁殖業者などからの犬猫の引き取り要請を、各自治体は断れるようになった(第35条)。そもそも各自治体における殺処分数を減らすことが狙いであり、同時に、犬猫等販売業者にも「終生飼養の確保を図る」ことが義務付けられた(第22条の4)。

    写真A/2015年3月24日付朝日新聞朝刊に掲載したパピヨンの写真
    写真B/今回入手した、紙面に掲載したのと同じパピヨンと見られる犬の写真。金網状の床のうえで生きている。目の前には糞が堆積している
    ところが、少なくない業者にとってこれらの規制は、売れ残った子犬や繁殖能力が衰えた繁殖犬を処分するための「出口」の一つを失うことしか意味しなかった。改正動物愛護法では、8週齢規制が「骨抜き」になり、飼養施設規制や繁殖制限なども見送られたため、生体の流通・小売業者を頂点に据えた大量生産、大量消費、大量遺棄のビジネスモデルはそのまま温存されてしまったためだ。

    結果として、犬の引き取り屋というビジネスが活性化している。

    ●引き取り屋で生きるパピヨンの写真
    今回、再びこのことを書いておこうと思ったのは、最近になってある写真を入手したことがきっかけだった。

    朝日新聞の記事で言及した犬の引き取り屋を、私自身が実際に訪ねたのは2015年3月上旬のことだ。記事には、2014年冬に動物愛護団体が内部の様子を撮影した写真を添えた(写真A)。

    同じ動物愛護団体が2015年12月に再び、この犬の引き取り屋の様子を確認、撮影した。そうしたところ、記事に掲載した写真に写っているパピヨンと見られる犬がまだ、せまいケージに入れられたまま飼育されていた。その様子が写っているのが、今回入手した写真(写真B)だ。

    被毛の状態がかなり悪く、四肢や臀部については脱毛も見られる。この写真が撮影された際、動物愛護団体とともに内部を確認した獣医師はこう話す。

    「記事に載った写真に写っていたパピヨンと見られる犬は、皮膚炎にかかっているのになんの治療もなされていませんでした。あの環境ですから、ノミやダニなどの感染からは逃れられません」

    このパピヨンも含め、散歩など適切な運動をさせてもらっていないことが明らかな犬がほとんどで、なかには獣医師による治療が必要な状態の犬も少なくなかった――と指摘する。

    いくつかの事例をあげてみる。

    爪が伸びっぱなしで、毛玉に覆われている犬。

    精神疾患の一つである、常同障害の症状が出ている犬。

    緑内障のため、眼球が突出している犬。

    既に、目が見えなくなっている犬。

    さらには、狭いケージの床面は金網状になっているため、前脚が湾曲したり、後ろ脚が骨格異常を起こしていたり、という犬たちも……。

    列挙していけばキリがないほどに、悲惨な状態だった。

    獣医師は言う。

    「狭いケージに入れられたまま、適切に管理されずに飼養されているために、犬たちはボロボロの状態でした。猫も数多くいて、巻き爪が肉球に食い込んでいる子や、耳の後ろをかきむしったために肉が露出している子もいました。しかもケージには糞尿が堆積しており、本当に最悪の環境。動物愛護法に違反しているのは明らかでした」

    こんな状況のまま「死ぬまで飼う」ことに、問題はないのだろうか。>>2

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