内藤昌豊
2021年1月31日 9時57分
弁護士ドットコム
[画像] 「娘を励ますために性交」小5から続いた性暴力 懲役6年判決の父、法廷での言い分
父親から子どもに対する性暴力事件で、その量刑をめぐって話題となる判決が相次いだ。
監護者性交等と児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪に問われていた34歳の男に津地裁は1月13日、「相当悪質だ」と懲役8年の判決を言い渡した(求刑懲役9年)。その2日後の15日には、福島地裁で監護者性交等の罪に問われた40代男の差し戻し審で、求刑通り懲役6年の実刑判決を言い渡している。
SNS上では「相当悪質でも懲役8年か」「6年は短すぎる」など、驚きの声があがっている。法定刑はどのように定められているのか。過去の裁判例とあわせて、みていきたい。(ライター・高橋ユキ)
●2017年からの2年間、最も多い量刑は「7年以下」
これまで監護者性交等罪で起訴された被告人にどのような判決が言い渡されたかについては、法務省がまとめた資料『性犯罪の量刑に関する資料(平成27年~令和元年)』( http://www.moj.go.jp/content/001323989.pdf )に詳しい。
これによれば刑法改正の2017年から2019年の間、監護者性交等罪で91人に対して判決が言い渡され、うち最も重い量刑が「懲役15年以下」で、最も軽いものが「3年以下」。そして最も多い量刑が「7年以下」であった。
こうした実態に照らせば、現段階においては「相当悪質だ」という事案で懲役8年というのはたしかに「相場より若干重い刑」ではあるようだ。
●犯行中、被害者は現実逃避のためスマホでアニメ
しかし、事件の詳細をみていけば「短すぎる」と声があがるのも致し方ないのかもしれない。
津地裁の事件の判決によると被告人は、同居していた13歳の実の娘に性的虐待を加え、その裸を348回にわたってスマホで撮影していたという。
柴田誠裁判長は「生まれた時から同居し、生活面で被告人に依存せざるを得ない娘が、要求を拒否することは難しい状況だった」と指摘している。被害者である娘は犯行中、現実逃避のためにスマホでアニメを観ていたという。(「共同通信」1月13日)
また、福島地裁の事件では 判決で柴田雅司裁判長は、被害後に娘が複数の友人に相談していたことなどをあげ、「生活面で被告人に頼らざるを得ない立場にある被害者に対し、説教を口実に及んだ極めて卑劣な犯行」と判断したという(「毎日新聞」1月16日)。
●被告人は「小太りで小柄な中年男性」だった
個別の事例を振り返ってみると、同罪についてはある特定の日時や、ごくわずかな期間に対する行為について起訴されているが、実際にはそれよりはるかに前から、長期間にわたり、わいせつ行為に及んでいる場合がままある。
その1つが、2020年10月20日、東京地裁で懲役6年の判決が言い渡された(求刑懲役8年)事件だ。この事件では、実父(年齢不明)が、当時高校2年生だった実の娘に性的虐待を加えたとして、監護者性交等の罪に問われた。
初公判の冒頭陳述で検察官は「被害者が小学校5年生の頃、妻が仕事で留守の時に被害者の寝室に入り陰部を触る、胸を揉むなどの行為をしていた。さらに被害者が高校生になると何度も性交するようになった」と、被害者が小学生の頃から性的虐待を繰り返していたと主張していた。
被告人は小太りで小柄な中年男性だ。マスクに覆われ口元は見えないが「ごく普通」の風貌である。被害者秘匿の観点から、氏名や居住地が明かされることはない。
起訴されていたのは「2017年8月ごろに、他の家族がいない間に当時高校2年生だった娘と性交した」ことについてであり、判決でもこれが認定されているが、裁判所はこれに加えて「長きに渡る性的虐待が徐々にエスカレートし、被害者が高校生になると性交を繰り返すようになっていた」と、被告人による長期の性的虐待も認めている。
性的なものだけでなく、暴言や暴力による支配もみられた。被害者である娘
続く
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No.2 里見義堯
21/01/31 15:07:03
子供が出来てたら…
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