『鬼滅の刃』は本当に「怖いから観ちゃダメ」? カウンセラーが明かす子どもへの影響とは

匿名

滝川一益

20/11/07 14:28:13


■戦闘の生々しさは物語に必要、「単なる惨殺シーンではなく、『何をしたら死ぬのか』を描いている」

――『鬼滅の刃』は、子どもの教育にも良さそうな家族愛、努力の大切さ、諦めない心などが描かれている一方、SNSなどでは「戦いの場面が生々しすぎる」「子どもに見せられない」という親世代の意見もあります。
「鬼と人間の戦いの場面は確かに生々しいですが、それは『鬼滅の刃』の物語に必要なものだと考えています。本作の根底にあるのは、『命とはなんぞや?』というテーマだと思うんですね。主人公の炭治郎をはじめとする鬼殺隊の隊員は、生身の身体で鬼たちに戦いを挑みますが、ここで描かれる鬼と人間の姿こそが、“生と死”というテーマにつながっています。医療が進んだ現在は、『死ぬことは負け』と思われがちです。でも本当は、長生きすること自体がゴールではなく、『何をもって生きるか、人生の中で何を残すか?』が大切。そのことを『鬼滅の刃』は問いかけているのだと思います」

――死を克明に描いていることも、生と死というテーマを際立たせるために必要だと。

 「そうだと思います。鬼殺隊は日輪刀で鬼の首を飛ばしますが、それは単なる惨殺シーンではなく、『何をしたら死ぬのか』を描いているんですよね。隊員や柱(鬼殺隊の頂点に立つ9人の剣士)たちも戦いで壮絶な死を遂げていきますが、それをリアルに表現することで、やはり『死とは何か?』というテーマに行き当たります。多くのヒーロー漫画、ヒーローアニメでは、殺された主人公が生き返ったり、転生したりすることがありますが、『鬼滅の刃』ではそうではなく、理不尽な死、無残な死であっても、そのまま描いています。これは、私たちが生きている世界でも起こり得ることですよね」

■死生観が麻痺した子どもたち、親と子が話し合うきっかけになる作品

心理カウンセラー/メンタルトレーナーの浮世満理子氏
――映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のレイティングはPG12(12歳未満の観覧には保護者の助言・指導が必要)。命の大切さ、死を受け止める力など、まずは親が『鬼滅の刃』のテーマを理解することが必要かもしれないですね。

 「『怖いシーンは見ちゃダメ』と隠すのではなく、しっかりと話をしてほしいと思います。現代の子どもたちは、死んでも何度でもリセットできるゲームなどの影響もあり、死生観が麻痺しがち。『鬼滅の刃』を親子で観て、『人間は死ぬ。だからこそ命を大事にしなくちゃいけない』『守ってあげなくちゃいけない』という話をすることは、とても大切だと思います。

 小学生以下の小さいお子さんの場合、“生と死”“死生観”というテーマをすぐに理解できるわけではありませんが、何年か経った後、『そういえばお父さんお母さんと映画を観たとき、そんなこと言ってたな』と思い出すこともあると思うんですよ。命の大切さや、仲間と一緒に頑張って生きることの素晴らしさについて、親子で話す機会はそれほどないですよね? 『鬼滅の刃』を一緒に観て、泣いて、ぜひ語り合ってみてください」

――アニメや映画を観て、お子さんが怖がっていた場合は、どう対処すればいいでしょうか?

 「まずは、『どこが怖かったの?』と聞いてみましょう。小さいお子さんの場合、死への恐怖というより、『鬼に追いかけられるところが怖かった』『鬼にされたらイヤだ』ということもあります。それはもしかしたら、普段、その子が抱えている不安、成長の段階で訪れる親との離別への怖さが重なっているのかも。しっかり話を聞いてあげて、『怖くないよ』『お母さんが守ってあげるから』と不安を取り除いてあげれば大丈夫です」

■「怖いシーンは見ちゃダメ」とシャットアウトするのはよくない

 「良くないのは、『怖いから見なくていい』とシャットアウトしてしまうこと。これは『鬼滅の刃』に限らず、普段の生活でも同じです。たとえば、道端で猫が死んでいたとします。そういうときに親は『怖いから、汚いから触っちゃだめ、見ちゃだめ』と、子どもを引き離そうとする。すると、子どもは『死は怖くて、汚いものなんだ』と思ってしまうんです。逆に、猫を車にひかれない場所に置いてあげたり、役所に連絡してきちんと葬ってあげれば、子どもは『亡くなったものには、敬意を持って接するべきなんだ』という気持ちになるので。

コメント

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  • No.1

    ぴよぴよ

  • No.2 柴田勝家

    20/11/07 14:35:03

    興味があったり、怖がりながらでも見れるなら、色々な事会話しながら見ればいいし、
    どうしてもトラウマになりそうとか、見たくないって子には、無理して見せる必要がない。
    ただそれだけじゃない?

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