- なんでも
- 森蘭丸
- 20/08/26 09:09:51
新型コロナウイルスの蔓延とともに、一人ひとりのマナーやモラルが問われるようになった。そんななか、自身の正義感を乱暴にふりかざす「自粛警察」や「マスク警察」という言葉が注目を集めた。そして、お盆や夏休みを迎えた8月、案の定、「帰省警察」の存在が多数報告されている。
「自粛警察」「マスク警察」の次は「帰省警察」
「そんなもんテレビが煽ってるだけやろ……おもてましたから、ビックリというか、ショックで……」
大阪府在住の自営業・住田誠さん(仮名・40代)が四国にある実家に帰省したのはお盆休みの8月10日だった。昨年末に祖父が亡くなり、今年は初盆。例年、妻と子どもを一緒に連れて帰っていたが、コロナ禍ということもあり、今回は一人だけ。自家用車で一泊の里帰りを決めたのだった。
「数十世帯しかない、山間の集落です。うちが初盆だということも、私が大阪にいることもみんな知っているはず。法事を終え、久々にオカンの手料理でも食べようかとしていると、オカンが青い顔して僕を呼んだんです」(住田さん、以下同)
住田さんが母親に見せられたのは、赤い文字で「警告状」と書かれた画用紙。「小さな集落、コロナは来るな」「お前はヨソ者、みんな見ている」などと記してあったのである。
「こんな狭い集落で……とゾッとしましたし、誰がやったのかさっぱりわからない。実家にはいられないと思い、慌てて近くのホテルを手配しました。オカンは泣いていたし、オトンも怒っていた。コロナが落ち着いても『そういう奴』が近くにいるのかと思うと、嫁や子どもを連れて帰ってくるのも不安になりますわ」
一部メディアなどで「帰省警察」などとも言われ特集されているのを「まさか」と思って見ていたという住田さんだったが、本当にそのまさか、自分が巻き込まれるとは……と、ショックを隠しきれない。
横浜から来た孫を連れてショッピングしていると…
九州北部在住で農業を営む内山裕二さん(仮名・60代)も「まさか」と思うような出来事を体験した。
「横浜に住んでいる息子夫婦が、孫二人を連れて帰ってきました。じいじと買い物行きたいなんて言ってくれるし、孫を連れて近くのスーパーに行ったんです」(内山さん、以下同)
孫の手を引いて楽しくショッピングをする内山さんの姿を見て声をかけてきたのは、近くに住む農業仲間だった。
「孫が標準語だったからでしょうか、まさか東京から来てないよね? と聞いてきたんです。孫が横浜、と答えると『横浜か、東京だったらおまわりさんに通報していたよ』と真顔で言ってきて。横浜と東京の位置関係もよくわかっていなかったんでしょうが、孫たちが怖がって、もうウチには来たくないと言い出しました」
二人の孫のうち、一人は横浜市内の自宅から都内の私立中学に通っているため、相当気にしているというから、内山さんは「もう少し気をつけるべきだった」と後悔する日々を送る。全国で同じような事態が発生しているというのは、在阪テレビ局の情報番組ディレクター・U氏だ。
「九州では、いちばん感染者の多い福岡県ナンバーの車が、どこに行っても避けられる傾向にあります。関西でも、なにわナンバーや大阪ナンバーの車で関西の田舎の方に行くと同じ事が起きていると言われています。陰湿とはいえ、今は手紙だったり陰口だったりで済んでいるが、暴力事件などに発展する可能性もあるのではないかと心配しています」(U氏)
関東でも、感染者数が多い東京地域の品川、足立、世田谷ナンバーの車が、隣県の避暑地やリゾートエリアで嫌がらせにあった、という事例も起きている。
他者に対する不寛容と「自分のところは大丈夫」という根拠のない希望的観測による行動。Withコロナ時代では、自制心を働かせなければならないと強く思う。<取材・文/森原ドンタコス>
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200826-01692582-sspa-soci
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長宗我部信親