PCR検査より精度が低い「発達障害チェックリスト」は問題だ

  • なんでも
    • 1
    • 黒田官兵衛
      20/08/03 07:41:00

    ■精神科医によって異なる診断結果

    「発達障害に限らず、精神医療全般ではチェックリストをもとにした『操作的診断』がおこなわれています。その信頼性がどの程度のレベルであるのかを示す実例を挙げましょう。2016年7月に障害者施設を襲撃して19人を殺害したとされる男は、事件を起こす前に北里大学東病院に措置入院(強制入院の一種で、自分や他人を傷つける恐れのある人が対象となる)させられていました。彼に関わった4人の精神科医たちによる診断は、興味深いものでした」

    米田氏によれば、次の通り。

    精神科医A──「躁病」
    精神科医B──「大麻精神病」「非社会性パーソナリティー障害」
    精神科医C──「妄想性障害」「薬物性精神病性障害」
    精神科医D──「抑うつ状態」「躁うつ病の疑い」

    同一対象であるにもかかわらず、4人が合計で7つもの異なる診断名をつけてしまったという。しかも事件後に検察、弁護人、裁判所のそれぞれの依頼で精神鑑定した結果もバラバラだった。

    「このような現象は精神科領域においては、決して珍しくはありません。複数の精神科にかかり、まったく同じ症状を訴えたのに、異なる診断を下されたという経験のある人はいくらでもいます。同じ精神科医にかかりながら、何の根拠も示されないまま診断名がコロコロと変わる経験をした人も数えきれないほど存在します。つまり、この状況は精神医療が、再現性と普遍性を不可欠とする『科学』ではないことを端的に示しています。そして発達障害は、精神障害の下位カテゴリーに位置づけられており、診断基準も診断手法も同じものが使われています」

    ■占いレベルの診断が、子どもの人生を左右する

    ただし、米田氏は、科学的ではないことをもって、精神医療を批判しているわけではない。

    「科学的でないから悪いとは言いません。星座占いや血液型占いも、科学的ではないけれど、みんな適度に楽しんでいますよね。しかし例えば天気予報の信頼性が、4人の気象予報士がいたら4人ともまったく違う答えを出す程度のものだとしたらどうでしょう。いまは大雪や台風の接近情報をもとに首都圏の列車すべての運行中止を前日に決定したりしていますが、それは天気予報が科学的だからできること。占いをもとに、社会に大きな影響を与える決定は許されませんよね。しかし、それと同じレベルのことをやっているのが精神医療なんですよ。発達障害の診断を下されることは、本人にとっても家族にとってもその後の人生を左右される大問題であるにもかかわらず……」

    かくして、科学的根拠を欠いた検査と診断のもと、多くの子どもたちが早期発見されている。

    「大きな自治体で言えば、横浜市では7.7%の子どもが、小学校入学前に発達障害と診断されています。これは、信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部長の本田秀夫医師らの2016年の研究で判明したものですが、これは早期発見検査にひっかかった『疑い』レベルではなく、実際に医療機関で診断が下された割合であることに注意すべきです。この診断率も自治体によって大きな差が見られ、横浜市のこの数値はあまりにも大き過ぎると言わざるを得ません。」

    これらの中には、本来発達障害にくくるべきではない層も含まれていると考えるのが合理的だろう。

    「もちろん、適切な支援が必要な子どもは存在します。ですが、手厚い支援だとか支援の充実だとかいうと聞こえがいいですが、その支援の方向が間違っていると、いとも簡単に誤った診断、とくに過剰診断へと傾きます。一度貼られたら剝がせないラベルであることも考慮すると、本当の支援となっているのか疑問があります」

    続く

    • 0
古トピの為これ以上コメントできません

新しいトークテーマを作ろう

子育てや家事、旦那に関する悩み相談、
TV、芸能人に関する雑談など何でもOK!

トピックランキング

もっと見る

コミュニティカテゴリ