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真田幸隆
木村正人 | 在英国際ジャーナリスト
7/15(水) 11:35
■独仏の判断にも影響
[ロンドン発]中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の次世代通信規格5G参入問題で、オリバー・ダウデン英デジタル・文化・メディア・スポーツ相は14日、下院で1月の限定容認方針から全面排除に転換したことを表明しました。
ダウデン氏は「5月、米商務省はファーウェイに新たな制裁を加えた。サプライチェーンに不確実性が生じ、5G機器のセキュリティーを保証できなくなった」と説明。イギリスの方針転換はドイツやフランスなど欧州連合(EU)加盟国の判断に影響を与える可能性があります。
これに対して中国の劉暁明・駐英大使は同日、「ファーウェイに対する英政府の決定は残念で間違っている。イギリスが外国企業に対しオープンかつ公正で差別のないビジネス環境を提供しているのか疑問だ」とツイートし、経済的な報復を匂わせました。
ボリス・ジョンソン英首相は1月28日、ファーウェイの5G参入を周辺機器に限り認め、周辺機器の市場占有率に35%の上限を設けました。EU離脱で経済に影響が出るのを最小限に抑えるため、ファーウェイ排除を求めるアメリカの圧力を払い除け、中国への配慮を示しました。
しかし英中共同宣言の「香港返還50年後の2047年まで『一国二制度』と『高度な自治』を守る」という国際公約を中国が香港国家安全法の強行で踏みにじったことで英中関係は完全に決裂。ジョンソン首相は議会の対中強硬論とアメリカのさらなる圧力に抗しきれなくなりました。
■排除のコストは2700億円
英国家サイバー・セキュリティー・センター(NCSC)はこの日「5月の米政府の追加制裁によりファーウェイはアメリカの技術が使えなくなり、サプライチェーンが混乱する危険性が高い。ファーウェイ機器は交換も更新もできなくなる恐れがある」と指摘しました。
これを受けてジョンソン首相は国家安全保障会議(NSC)でファーウェイ全面排除を決めました。
ジョンソン政権は電気通信セキュリティー法を制定、今年末から電気通信・携帯電話事業会社がファーウェイの5G機器を購入できないようにします。2027年までにファーウェイ機器を5Gネットワークから完全に排除します。
1月の限定容認ですでにイギリスの5G導入は1年遅れ、最大10億ポンド(約1350億円)のコストがかかると予想されていました。今回の全面排除決定で導入は2~3年遅れ、コストは最大20億ポンド(約2700億円)にまで膨れ上がります。
■日系企業にチャンス
マイク・ポンペオ米国務長官は「イギリスのファーウェイ排除を歓迎する。5G機器とソフトウェアが国家安全保障、経済安全保障、プライバシー、知的財産権、人権を脅かさないと信頼できる必要がある」との考えを表明、ファーウェイを排除した国や企業名を挙げました。
【禁止した国】
アメリカ、イギリス、スウェーデン、ポーランド、デンマーク、チェコ、ラトビア、エストニア、ルーマニア
【禁止した企業】
日本(NTT)、インド(ジオ)、オーストラリア(テルストラ)、韓国(SKテレコム、KT)
(続く)
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