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- 20/07/03 14:37:45
日韓逆転も…韓国労組、最低賃金16%引き上げを
2020年7月3日 6時0分
JBpress
新型コロナウイルスの世界的な流行で、韓国経済にも大きな影響が出ている。
そんな中で始まった2021年の最低賃金改定に向けて労働側が16.4%の引き上げを要求した。経営側は猛反発しているが、「最低賃金の日韓逆転」も現実味を帯びてきた。
韓国では、雇用労働部の所属機関である「最低賃金委員会」で全国一律の法定最低賃金を決め、8月5日までに公示することになっている。
■初めての1万ウォン乗せを要求
2020年7月1日、2021年の金額を決めるための最低賃金委員会全員会議が開かれた。
この席で労使双方の代表が、要求額を提示したが、そのあまりの差が大きなニュースとなった。
労働側は、2020年の最低賃金を16.4%引き上げて1万ウォン(時給、1円=11ウォン)とすることを要求した。1万ウォン台に乗れば史上初めてのことだ。
これに対して経営側は、2.1%引き下げた8410ウォンにすることを求めた。
経済環境を鑑みて算出した要求額で、労使双方の間である程度の差が出ることは分かっていた。それにしても16%以上の引き上げと、2%以上の引き下げ。
これから本格交渉が始まるとはいえ、あまりの差に驚きの声が上がっている。
労働側は、経済環境が厳しくなっている時こそ賃上げすべきだとの意見だ。
法改正で「最低賃金」に賞与や福利厚生費を段階的に含めることになったこともあって、1万ウォンを超えてこそ生計を維持できるとの主張だ。
これに対して経営側は、「今の経済状態、特に企業経営がどんどん悪化していることを考えれば賃上げなどとても応じられない」と強く反発する。
韓国の経済先行きについてはさらに暗い展望が相次いでいる。
6月24日、IMF(国際通貨基金)は、韓国の2020年のGDP(国内総生産)成長率を前年比マイナス2.1%とした。
4月時点ではマイナス1.2%だったが、世界経済の悪化とともに引き下げた。
韓国紙デスクは話す。
「サムスン電子、SKハイニックスという半導体2強は堅調だが、航空や観光業界はもちろん、自動車、化学、機械など幅広い分野で企業業績が悪化することは必至だ」
「16%もの賃上げは、要求段階とはいえ、驚きの声さえ出ない」
だが、労働側は、これでも多少は配慮した額だという立場だ。
■民主労総の要求は25%
韓国には、全国規模の労組団体であるナショナルセンターが2つある。
このうち、時に積極的な政治闘争にも乗り出す強硬派として知られる全国民主労働組合総連盟(民主労総)は6月19日、中央執行委員会を開いて2021年の最低賃金要求額について議論した。
この時に決議した引き上げ率は「25.4%」で1万770ウォンだった。
その後、もう1つのナショナルセンターである韓国労働組合総連盟(韓国労総)と協議を経て「16.4%」になった。
加入者数で韓国最大になった民主労総にとってみれば、「相当な配慮」ともいえる水準だということだ。
文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領は、2017年の大統領選挙の公約に「最低賃金を1万ウォン台に引き上げる」を掲げていた。
■急ピッチで上昇
その通り、就任以降、急ピッチで最低賃金を引き上げてきた。ここ数年の最低賃金の推移は以下の通りだ。
2014年 5210ウォン(+7.2%)
2015年 5580ウォン(+7.1%)
2016年 6030ウォン(+8.1%)
2017年 6470ウォン(+7.3%)
朴槿恵(パク・クネ=1952年生)政権では、7~8%台の引き上げが続いた。ところが、2017年5月に政権交代以降、一気に上昇する。
2018年 7530ウォン(+16.4%)
2019年 8350ウォン(+10.9%)
2年続けて2ケタ台の引き上げだった。
文在寅政権は「所得主導成長論」を掲げてきた。それまでの財閥、大企業主導の経済成長路線ではなく、庶民や労働者の生活の質を重視し、こうした層の賃上げを通して成長も実現させようという考え方だった。
続く
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