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- 建武
- 20/04/15 21:20:21
布マスクの手作りへの関心が急速に高まっている。材料を取り扱う岐阜県内の専門店には連日客が殺到し、一部では客同士のトラブルも発生。混雑による感染リスクも高まり、客と従業員の安全確保のため、臨時休業する店舗も出てきた。
布地を取り扱う大型専門店「大塚屋岐阜店」(岐阜市長住町)は、大阪や愛知の店舗とともに13日から当面の臨時休業を決め、店先に張り紙を出した。14日に休業と知らず来店した市内の主婦(42)は「ミシンがない友人の分を作るため布を買いに来た。インターネットでも手に入らず、頼りにしていたのに」と困った様子で店を後にした。
2月ごろから客が徐々に増え、マスクの材料のガーゼ布やゴムを求めて平日、休日を問わず押し寄せた。飛騨地域など遠方からの客もおり、県の「非常事態宣言」が発令された直後の先週末は、開店直後から夕方までレジに客の列が途切れなかったという。田中徹店長は「宣言で危機感が増したのか、客は さらに増えた。大勢の人が密集する状態が続き、店から感染が広がらないか、不安は常にあった」と苦悩を語る。
布の奪い合いやレジの順番を巡る客同士のけんかも起きるようになり、客が従業員に対して「どうして材料がないんだ」と怒って詰め寄るなど、売り場が騒然とすることもあった。
開店を待つ客の一人が「私はコロナだ」と叫んで一時パニックになったことも。日々対応に追われる従業員の不安や疲労もピークに達し、店内の人混みを見ると頭痛を訴える従業員もいたという。田中店長は「客に安心して買い物してもらえる状況とは言えない。(休業により)材料は十分あるのに届けられず、つらい」と唇をかむ。
県内のある手芸品店は4月に入り客数が前月から倍増した。在庫の問い合わせも多いが、客が殺到するのを避けるため「人気の白いガーゼ布が入荷しても、電話での問い合わせには答えない」と明かす。
感染の終息が見えない中、マスクを巡る混乱も落ち着く気配はない。田中店長は「マスクが客の手元にない現状では、またパニックが起きるかもしれない」と、営業再開を見通せない状況に肩を落とした。
(4月15日 07:58 岐阜新聞)
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