- なんでも
- 朱鳥
- 20/04/12 10:00:29
神奈川県医師会 菊岡会長からの新型コロナウイルス関連コメント
2020/04/10(金)
市民の皆様へ
◆侮らないで◆
新型コロナウイルス感染に関する連日の報道で、「親も子供もストレスで大変です」と
マスコミが取り上げています。だから、ストレス発散のために、外出したいという気持ち
もわかります。
爆発的な感染拡大に若い人たちに危機感はないのは当然かもしれません。若い人は感染
しても比較的軽症ですむケースが多いからです。しかし現実は若い人でも、重症化して一
定数以上は死亡するのです。
もし、自分の知り合いの人がコロナ感染症で亡くなられたらきっと哀しいはずです。そ
して、亡くなった人にうつしたあなたが、入院せずに軽度ですんでも本当に喜べるでしょ
うか。不用意に動き回るということは、その可能性を増やしてしまうことなのです。今は
我慢する時なのだということを、ぜひ理解してください。出来るだけ冷静に、そして自分
を大切に、そして周囲の人を大切に考えてください。
◆ごまかされないで◆
この新しい未知のウイルスに、本当の専門家がいません。本当は誰もわからないのです。
過去の類似のウイルスの経験だけですべてを語ろうとするのは危ういかもしれません。そ
して専門家でもないコメンテーターが、まるでエンターテインメントのように同じような
主張を繰り返しているテレビ報道があります。
視聴者の不安に寄り添うコメンテーターは、聞いていても視聴者の心情に心地よく響く
ものです。不安や苛立ちが多い時こそ、デマやフェイクニュースに踊らされぬよう慎重に
考えてください。
実際の診療現場の実情に即した意見かどうかがとても重要です。正しい考えが、市民や
県民に反映されないと不安だけが広まってしまいます。危機感だけあおり、感情的に的外
れのお話を展開しているその陰で、国境を持たない見えないウイルスは密やかに感染を拡
大しているのです。
第一線で活躍している医師は、現場対応に追われてテレビに出ている時間などはありま
せん。出演している医療関係者も長時間メディアに出てくる時間があれば、出来るだけ早
く第一線の医療現場に戻ってきて、今現場で戦っている医療従事者と一緒に奮闘すべきだ
ろうと思います。
◆PCR検査の本当◆
医療関係者は、もうすでに感染のストレスの中で連日戦っています。その中で、PCR
検査を何が何でも数多くするべきだという人がいます。しかしながら、新型コロナウイル
スの PCR 検査の感度は高くて 70%程度です(50%程度かもしれません)。つまり、30
%以上の人は感染しているのに「陰性」と判定され、「偽陰性」となります。
検査をすり抜けた感染者が必ず(必ずです)いることを、決して忘れないでください。
「さっさとドライブスルー方式の検査をすればよい」という人がいます。その手技の途中
で、手袋や保護服を一つひとつ交換しているのでしょうか…。もし複数の患者さんへ対応
すると、感染者から非感染者への二次感染の可能性も考えなければなりません。正確に次
の検査の人に二次感染の危険性が及ばないようにするには、一人の患者さんの検査が終わっ
たら、すべてのマスク・ゴーグル・保護服などを、検査した本人も慎重に外側を触れない
ように脱いで、破棄処分しなければなりません。マスク・保護服など必須装備が絶対的に
不足する中、どうすればよいのでしょうか。次の患者さんに感染させないようにするため
に、消毒や交換のため、30 分以上 1 時間近く必要となります。テレビなどのメディアに
登場する人は、本当のPCR検査の実情を知っているのでしょうか。そして、「専門家」
と称する人は実際にやったことがあるのでしょうか。
◆胸部レントゲン検査やCT検査の困難◆
胸部レントゲン検査や CT 検査を、もっと積極的にしないのは怠慢だという人がいます。
もし、コロナ感染を疑われるとした患者さんを撮影したとすると、次の別の患者さんを検
査する予定となっても、その人が二次感染しないように、部屋全体を換気するとともに装
置をアルコール消毒しなければなりません。その作業は 30 分以上、1 時間近く必要とな
ります。アルコールが不足する中、どうすればいいのでしょうか。メディアなどで主張す
る専門家やコメンテーターは、そのようなことを考えたことがあるでしょうか。
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