• No.1 暦仁

    19/11/04 09:40:32

    →続き

    近視の子どもが多く訪れる東京 世田谷区の眼科医院では、診断を受けた子どもの10人に1人程度が「強度近視」か、そのおそれがある患者です。

    取材した日に診療に訪れた小学4年生の男の子は強度近視と診断されていて、裸眼視力は両目とも0.1以下、眼鏡を外すと10センチ先も正確には見えない状態です。

    眼球が伸び、外からの光の刺激を受け取る網膜が薄く引き伸ばされていて、将来的に失明につながる網膜剥離になるリスクもあると診断されていました。

    男の子の母親は「失明する可能性がゼロでないという説明を受けているので心配です。定期的に目の状態を確認してできることをしたいです」と話していました。
    近視はアジアを中心に世界で急増していて、オーストラリアなどの研究グループが3年前に出した試算では、2050年には世界人口の10分の1にあたる9億4000万人が強度近視になると予測されています。

    このため世界各地で近視になる人を減らすための対策が進められています。

    最近の研究では、一日2時間、屋外で活動し、十分な量の光を浴びることで近視の発症を抑えられることが分かってきており、20歳以下の8割が近視の台湾では、2013年から体育の授業を1週間に150分屋外で行うことを義務づけ、ほかの教科も屋外での授業を推奨しています。

    学校によっては、理科の授業でも屋外での植物の観察などを多く取り入れているほか、子どもたちの首元に光センサーをつけてもらって浴びる光の量や時間を把握しています。

    こうした取り組みで台湾全体では、7年間で視力0.8未満の子どもが5%以上減ったということです。

    台湾教育部の彭富源署長は「屋外活動に導くことで視力悪化のスピードを抑えられる。子どもも喜び、あまり予算もかからず、効果がある方法だ」と話していました。

    一方で、日本では全国に近視の子どもがどれだけいるのかという調査も行われておらず、文部科学省によりますと、現在、子どもの視力の低下が運動時間や勉強、読書、ゲームの時間などと関連するかどうか、調査を行っている段階だということです。

    文部科学省健康教育・食育課の平山直子課長は「近視は非常に重要な課題だと認識している。調査の結果を得て来年度には対策を決め、各家庭や学校に周知するなど、緊急に進めていきたい」としています。

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